昨年10月中旬を境にして、先進国では日本だけが新型コロナの新規感染者数及び死亡者数が増えています。
推測するに理由の第一は、新型株対応ワクチンのブースター接種率が落ち込んでいること。
第二は、弱毒化しつつも感染力を強めた新型株が流行していること。
第三は、すでに世の中は平常の活動に入っており、個々人においても特段の感染対策をとっていないこと等々が考えられるのではないでしょうか。
とりわけ、新型コロナのワクチン接種においては、例えば川崎市の接種率は、1回目と2回目は90%ちかくありましたが、3回目以降は顕著におちこみ、4回目接種は41.8%、5回目接種は16.1%にまで落ち込んでいます。
接種率が落ち込む理由は、一に副作用の強さ、二にワクチンに対する誤った知識が世に蔓延していることにあるように思います。
マスクをしていない諸外国では感染者数が減り、国民のほぼ全員がマスクをしていると言っても過言ではない日本において感染者数が増えている現実をみると、神奈川県知事が推奨している「マスク会食」に何の意味があるのか疑問です。
神奈川県議会議員たちは何をしているのか…
一方、世界を見渡しますと、今回のコロナパンデミックにより、世界では乳幼児に必要な「はしかワクチン」「ポリオワクチン」「3種混合(ジフテリア・破傷風・百日ぜき)ワクチン」などの予防接種の遅れが生じています。
上のグラフのとおり、はしか、ポリオ、3種混合ワクチンの1歳児の接種率は約20年ぶりに低下しています。
特に遅れているのは発展途上国で、例えばブラジル、フィリピン、インドネシア、タンザニアなどが顕著です。
おそらくは、コロナ対策に医療資源が振り向けられたことや外出制限にともなう受診控えが背景にあるのでしょう。
発展途上国の場合、子供の病気予防の取り組みが後退することは、中長期的な国の成長にも影響すると言われています。
インドの商都であるムンバイでは昨年の秋からはしかの患者が急増し、同市がある州では24人が死亡しています。
WHO(世界保健機関)によれば、はしかの流行が発生する国は昨年11月時点で23カ国、ポリオについても、アフリカで野生株の感染者が30年ぶりに確認されているとのことです。
ただ、はしかなどの感染症は、予防接種を受ければほぼ確実に感染を防げるとのことですが、わが国においても、2021年度のはしか・風疹のワクチンの1回目接種率は93.5%となり、コロナパンデミック前の前年に比べて5ポイントも下回りました。
医療環境として日本は辛うじて先進国の部類に入るのでしょうが、東京女子医科大学の坂元晴香准教授によると「わずか数ポイントの低下でも接種推進を国際支援に頼る途上国を中心に、回復には努力と時間を要する」とのことです。