まさか防衛省までもが…

まさか防衛省までもが…

現在、わが国における最大の問題点は、国防のみならず、食料安保、エネルギー安保等々、さまざまな安全保障が危機に直面しているにもかかわらず、政治家や官僚、ほか専門家と言われる人たちの圧倒的多数が基礎教養として「正しい貨幣観」をもっていないことにあります。

何日か前のブログで書きましたが、昨年末に策定された『国家安全保障戦略』の文言のなかに「財政基盤の強化」が盛り込まれていたことに私は驚かされました。

わが国では『国家安全保障戦略』はもちろん『国防の基本方針』等においても、これまで「財政基盤の強化」が謳われたことなど一度もありません。

今回、それが盛り込まれたのは、てっきり緊縮財政至上主義である「財務省」による差し金かと思ったら、実はそうではなかったらしい。

なんと、防衛省と国家安全保障局らのご意向だったという。(典拠:日本経済新聞)

日本経済新聞によれば、本来は財政について気にする必要のない防衛省と国家安全保障局が財政にこだわったのは「財政問題を財務省だけに任せては日本が滅びてしまう…」という危機感からではないか、とのことです。

…ばかげています。

防衛省までもが財務省と同じことを言い出していること自体が亡国の兆ではないのか。

今回の『国家安全保障戦略』には「経済・金融・財政が日本の安保の礎だ…」と規定され、なおかつ次のような信じ難い文言まで盛り込まれています。

「有事の際の資源や防衛装備品等の確保に伴う財政需要の大幅な拡大に対応するためには、国際的な市場の信認を維持し、必要な資金を調達する財政余力が極めて重要となる…」

要するに「有事対応にはカネがかかるが、そのためには国際的な市場の信認を維持しないと必要なカネを調達できない…」と言っています。

日本経済新聞の報道どおり、もしも防衛当局がこのような文言を盛り込んだのであれば誠に残念です。

そもそも「国際的な市場の信認…」って何ですか?

こうした抽象用語で政策論を語ることが、一番やってはならないことです。

結論を先に言えば、国債発行の制約条件は「インフレ率」のみであり、意味不明な「国際的な市場の信認」なんちゃんらなどではありません。

因みに、岸田総理も防衛費増額の財源について「国債による借金の付け回しがいいのか、それとも段階的に増税するのがいいのか…」と頓痴気な明言をしています。

いつも言うように、国債発行は将来世代への負担付け回しなどではありません。

だったら岸田総理に伺うが、わが国の政府債務は明治新政府が発足して以降、既に3900万倍以上に膨れ上がっていますが、岸田総理にしても私たち日本国民にしてもどの部分を負担しているのでしょうか?

実際、負担(返済)などしていない。

そもそも3900万倍以上にまで借金が膨れ上がっているのに、なぜ日本政府は一向に破綻しないのかを考えてみよ。

国債発行は将来世代への負担付け回しでなく、将来世代のための投資なのです。

先人たちが3900万倍以上もの負債(投資)をしてくれたからこそ、今を生きる私たち日本国民は様々なインフラ(制度を含む)の恩恵を享受することができているのです。

戦後、残念ながらわが国の財政法は、防衛力を強化できないように国債の発行を原則禁止にしました。(建設国債だけが合法)

その背景には「財政規律さえ守っていれば戦争は起こらない」という実に愚かな思想があるからです。

因みに、ナポレオンは厳格な財政収支均衡主義者であり、財政規律を守ろうとしたがゆえにヨーロッパ中を侵略しまくりました。

「財政規律さえ守っていれば戦争は起こらない」というのは、「憲法9条さえ守っていれば戦争は起こらない」と同レベルのお花畑思想です。

財務省のみならず、まさか防衛省までもが同じことを言い出すとは思いもよりませんでした。

防衛省、お前もか…