昨年の暮れに行われた共同通信の世論調査によれば、岸田内閣を支持するが33.1%であるのに対し、支持しないが51.5%と半分を上回りました。
内閣支持率が自民党支持率(40.1%)を下回っていることから、自民党支持者ですら岸田内閣を支持していない人がいるわけです。
4月の統一地方選挙、5月のサミットを控えている総理としては、「支持率回復のため、なんとか起死回生の一発を…」ということもあって、「異次元の少子化対策」なるものがまるで新たな政策であるかのようにアナウンスされたのでしょう。
ある世論調査によれば、次期首相として最も有力なのが河野太郎さんらしい。
残念ながら、私にとっては最も首相になってほしくない政治家だ。
その最大の理由は、氏が「緊縮財政主義者」及び「改革主義者」だからです。
いまの経済停滞、そして国家としての衰退の根本原因こそが、この「緊縮財政主義」と「改革主義」にあります。
緊縮主義がなぜダメなのか…
日本は、1997年以来の緊縮財政主義(財政収支の縮小均衡主義)によって、25年以上にわたりデフレ経済に苦しんでいます。
昨年から一部の物価はコストプッシュ・インフレに見舞われていますが、経済基調としては未だデフレです。
デフレとは、別の言い方をすると「貨幣価値が上昇していく経済現象」です。
日に日に貨幣価値が上昇するので、人々はおカネを使わずに貯金しておいたほうがお得な世の中になります。
するとモノやサービスの購入(需要)が減るため、生産者サイドは売上げが減少し、会社の利益も従業員の給与も下がります。
給料が減少した人たちは余計な消費を抑制しようとしますし、売上げの上がらない企業もまた投資を抑制します。
このようにして需要の減少が供給の縮小をもたらし、供給の縮小がまた需要の減少をもたらす経済循環のことをデフレ経済と言います。
結果、国力の源泉たる供給能力が毀損され続けますので、国家としては発展途上国化するわけです。
そんな経済情勢が25年以上も続いてきたのは、政府が緊縮財政を続けているからです。
前述のとおり、デフレとは貨幣価値の過剰事態ですので、政府は通貨発行を拡大(財政支出を拡大)することで貨幣の価値を減少させねばなりません。
貨幣価値が下がると、人々は「おカネは使わなければ損」というマインドをもちモノやサービスの購入が増え、デフレを脱却することができます
要するに、河野太郎さんはその真逆をやろうとしているわけです。
なので、河野太郎さんのような緊縮財政主義が総理になってしまうと、益々もって日本は衰退するのでございます。
そもそも河野太郎さんは「プライマリーバランスの黒字化目標を達成すべき…」と主張し続けていますが、このことだけでも「貨幣とは何か?」という根本を理解していない証左です。
一方、河野太郎さんは過激な改革主義者でもあります。
その象徴的な政策は「移民の受け入れ推進」です。
氏は「人口問題の解決を本気で取り組むならば、移民政策を抜きにはできない…」と言い切っています。
なにを言っているのでしょうか。
ヨーロッパの先進国をみてみよ、移民を受け入れて成功した国などない。
移民の大量移入によって、むしろ経済停滞、低賃金、治安の悪化を招いています。
その結果、ご承知のとおりイギリスなどはたまりかねてブレグジット(EU離脱)を選択しました。
日本では北海道のニセコ町などは今や中国人だらけ、京都市などでも一等地が街ごと一画を中国人に買い叩かれ、中国人観光客向けの宿泊施設(一泊15〜20万円くらい)が増えています。
奄美大島でも中国人が港を開発し、そこに中国船を入れ中国人観光客にカネをつかわせ儲けるというビジネスモデルができています。
これらも移民政策の一環です。
なお、わが国の国内ではすでに各地で外国人町が形成されており、日本人の空間は狭まるばかりです。
国民国家にとっては、グローバリズムに基づく移民政策こそ超過激な改革政策だと言わざるを得ません。
移民政策だけではありません。
河野太郎さんは農業改革の名のもとに「農業をカネ儲けビジネスに転換せよ…」と言う。
農業をカネ儲けビジネスに転換せよ、というのは食料安全保障の真逆の考え方です。
振り返ってみると、民主党政権時代に行われた悪名高き「事業仕分け」は、緊縮財政主義と改革主義の産物でした。
なので河野内閣の誕生は、民主党政権の再来と言っていい。