ことしの第1四半期(1~3月)のGDP(国内総生産)は、物価変動の影響を除いた実質値で前期比1.3%の減でした。
年率換算では5.1%減で、あのリーマン・ショックがあった2008年の3.6%減を超えて戦後最大のマイナス幅となりました。
2019年10月の消費税増税の際、菅総理は前内閣の官房長官として「リーマン・ショック級の経済危機がないかぎり消費税増税(8%→10%)を断行する」と言っていました。
ところが、その後コロナ・パンデミックというリーマン・ショック級以上の危機が発生したものの、消費税は未だ見直されていません。
「増税前ではなく増税後に発生した危機だから…」という理屈なのでしょうか。
また、あれほど消費税率の引き上げに反対していた日本共産党も、なぜか今では消費税の見直し(税率引き下げ・凍結・廃止)を求める強い声を国政も地方議会でも揚げていない。
増税前までは、例えば日本共産党川崎市議団は自治法99条に基づく意見書案「消費税増税に反対する意見書案」を川崎市議会に上程していましたが、あれ以来、上程すらしていません。
随分と物わかりのいい野党になったものです。
目下、我が国経済は消費税増税不況とコロナ自粛不況のダブルインパクトに加え、政府がカネを使わない緊縮不況も相まってトリプルパンチ不況に直面しています。
緊急事態宣言を延長するのはいいけれど、それ相応の財政措置をもとってもらわなければ人が死にます。
さすがに昨年(2020年)はコロナ対策のためにGDPの15%相当の経済対策を打ちましたが、それを含めても我が国は先進国のなかで最も政府がおカネを使わない国なのでございます。
ここでいう先進国とはとりあえずG7のことを指していますが、冒頭のグラフのとおり、日本政府の2020年政府支出は2001年と比べわずか1.3倍にしかすぎません。
とりわけデフレ下の経済では、政府の歳出規模は経済成長に大きな影響を与えます。
例えば、デフレ下で政府歳出を引き締めると総需要は埋められず、民間の投資も消費も伸びません。
要するに、政府も民間もおカネを使わないのですから名目GDPは成長しない。
一方、政府歳出を拡大することでデフレ(総需要不足)を解消した国は着実に経済を成長させています。
着実に経済を成長させると、自然に税収も増えます。
むろん、税収は財源確保の手段ではありませんが、名目GDPが拡大することによってインフレ抑制手段としての税収が増えるのは必然です。
例えば、日米の名目GDP及び税収の伸びを比較してみましょう。
両国の1990年の名目GDPと税収を「100」とすると、2018年には米国の名目GDPは3.5倍、税収は3.3倍でした。
一方、我が国の場合、名目GDPはゼロ成長、税収は1.15倍という体たらくです。
もしも米国並みに経済成長、即ち米国並みに政府支出を拡大していれば、2018年の段階で名目GDPは1600兆円以上、税収は198兆円になっていた計算になります。
現実はどうか。
2019年決算をみますと、税収は60兆円です。
何度でも言います。
税収を増やしたいのなら政府にカネを使わせねば…
財政収支の均衡などいらない!