昨日のブログでも申し上げましたとおり、日本銀行(以下、日銀)は、わが国の中央銀行として次の3つの役割を担っています。
①政府の銀行
②銀行の銀行
③お札を独占的に発券する銀行
本日は、③について取り上げたいと思います。
日銀は現在、一万円券、五千円券、二千円券、千円券の4種類のお札を発行しています。
お札は国立印刷局で製造され、それを日銀が引き取り本店や支店の金庫に保管されます。
ただし、この時点でのお札は厳密な意味において「おカネ」ではありません。
なぜなら、この時点では未だおカネの定義を充たしていないからです。
おカネは「負債」の一形式です。
その反対側に債権者がいなければならないわけですが、この時点では未だ債権者がいませんのでおカネではありません。
いつも言うとおり、誰かの負債は必ず誰かの資産であり、誰かの赤字は必ず誰かの黒字なのでございます。
例えば、私が手にしている千円札は、債権者が私、債務者が日銀、ということでおカネが成立しています。
あるいは、民間銀行が日銀に設けている「日銀当座預金」を現金化したとき、はじめてお札はおカネとしての定義を充たします。
このようにしてお札は、日本銀行の窓口から民間銀行を通じて世の中に送り出されているわけです。
因みに、100円玉や500円玉などの硬貨については、日本銀行ではなく財務省が補助通貨として発行しています。
日銀はわが国における唯一の発券銀行として、お札を独占的に発行しているからこそ、お札には「日本銀行券」と印刷されているわけでございます。
さて、「日本政府は借金で破綻するぅ〜」と言われ続けて、はや28年が経とうとしています。
昨今は「そんなデマに騙されないぞ…」という見識者が増えてきましたが、未だにそうしたデマを盲信し続けて財政危機をことさらに煽り続ける人たちもおられます。
また、在りもしない日本の財政破綻を前提にして議会質問する議員が川崎市議会にも多数おられます。
しかしながら、インフレ率が許す限りにおいて、日本政府(日本銀行)の通貨発行に上限はありませんので、日本政府が破綻することなどあり得ません。
このように言うと必ず「政府の通貨発行に上限がないのなら、どうして国は国民から税金を徴収するのか?」と。
残念ながら、その問の前提には「税は財源」と誤った認識があります。
そうです、通貨発行券を有する政府にとって税は財源ではありません。
政府が税金を徴収する目的は他にあります。
その目的はいくつかあるのですが、今日は一つだけご紹介します。
平素、個人や企業など世の多くの人たちは「銀行預金」を決済や資産管理に利用されていると思いますが、どうして銀行預金は「通貨」としての価値を有しているのでしょうか。
むろん日銀券との交換が可能だからです。
ではなぜ,日銀券は通貨としての価値を有しているのでしょうか。
それは、日本政府という国家が「日銀券」を通貨として法定し、国民に対し日銀券での納税を義務付けているからです。
私たち国民は、日銀券を手にしなければ納税義務を解消することができません。
であるからこそ、日銀券が通貨としての価値を持つわけです。
これが租税貨幣論です。
何度でも言おう、税は財源ではない!