竹中平蔵氏が自身のユーチューブで、日本のワクチン認可が遅れた理由は「日本の医療を中心とした医師会と厚労省の医療技官たちが自分たちのヒエラルキーを守るためにものすごい政治力を発揮しているからだ」と言っています。
その上で竹中氏は、菅総理は早くワクチンを認可しろと言ったのだが、海外で治験をやっているにも関わらず厚労技官たちが「日本でも治験をしなきゃダメです」と言って抵抗したために「結果的としてワクチンを確保するのが遅れたのだ」と断罪しています。
たしか、これと同じようなことを自衛隊の前統幕長である河野氏も言っていました。
「供給の遅れは、ワクチンに消極的な厚生労働省のせいだ…」と。
このオッサンたち二人とも、ワクチン接種が遅れた経過について何も真実が見えていない。
海外でも治験をやっているにもかかわらず、ワクチン承認を慎重に行わせ、かつ遅らせたのは国会議員たちです。
証拠があります。
ワクチン接種を可能にする『予防接種法改正案』が衆参両院で審議のうえ採決された際、全会一致で附帯決議がついています。
その附帯決議には次のように書いてあります。
衆議院__「新型コロナウイルスワクチンの審査に当たっては、その使用実績が乏しく、安全性及び有効性等についての情報量に制約があることから、国内外の治験を踏まえ、慎重に行うこと」(附帯決議抜粋)
参議院__「新型コロナウイルスワクチンの承認審査に当たっては、その使用実績が乏しく、 安全性及び有効性等についての情報量に制約があることから、国内外の治験結果等を踏まえ、慎重に行うこと」(附帯決議抜粋)
以上のように、国会が「国内での治験を踏まえろ!」「そして承認審査は慎重に行なえ!」と明確に言っていたわけです。
あれっ、国会って国権の最高機関ではありませんでしたっけ?
国内での治験をやり直すとなると、本来であればもっと時間と日にちがかかるところを、厚労省とファイザー社の努力によってなんとか最速の4ヶ月に短縮されたのです。
もしも厚労省とファイザー社の努力がなければ、我が国でのワクチン接種はもっと遅れていた可能性が大です。
ましてや国会での附帯決議に「海外での治験もあることから、速やかに承認せよ」と明記していたら、今ごろは欧米先進国並みに接種率が高まっていたかもしれません。
そうすれば集団免疫の獲得も早くなっていた可能性もあり、6月に入ってまで緊急事態宣言を延長する必要などなかったかもしれない。
少なくともワクチン承認の遅れを厚労省に押し付けるのは筋違いです。
それに、竹中氏は「菅総理は早く承認しろと言った」としていますが、菅さんは政権与党である自由民主党の総裁です。
その総裁が「早くしろ」と言っていたにもかかわらず、衆議院・参議院の自民党国会議員たちは総裁の意向を無視したことになります。
上記の附帯決議をみるかぎり、そう思わざるを得ない。
要するに竹中氏は「菅総理は総裁として無能だ」と言いたいのでしょうか。
それからもう一つ。
「医療を中心にした政官業の癒着がぁ~」と言うけれど、構造改革の名のもとに「政官と癒着して儲けている」と揶揄されているのはどこの誰だ!