きのう、鈴木財務相は記者会見において、達成目標である2025年度のプライマリー・バランス(基礎的財政収支、以下PB)黒字化について「(防衛費増額による)一定の影響はもちろんある」と述べ、PB黒字化目標の達成が遅れないように財政規律を一層堅持するという姿勢を示しました。
防衛増税がPB黒字化に資する…
「・・・」(怒!)
そもそも、PB黒字化目標そのものが愚策なのに何を言っているのでしょうか。
PB黒字とは、要するに「民間赤字」のことです。
逆に、PB赤字は「民間黒字」のことで、政府による民間への貨幣供給になります。
一国の経済をみたとき、あらゆる支出は必ず誰かの所得として受け取られています。
ただし、政府による借金返済は単なる貨幣消滅であり、だれの所得にもなりません。
なので、国民経済全体でみますと支出の総計は所得の総計に等しくなります。
いつも言うように、国民経済全体は、①国内民間部門、②国内政府部門、③海外部門の三つから成り立っています。
そして①②③の何れかの部門の収支の赤字は、他の別の部門の収支の黒字になります。
だれかの債務は別のだれかの債権なのですから当然です。
したがって、次のような恒等式が成り立ちます。
国内民間部門の収支 + 国内政府部門の収支 + 海外部門の収支 = 0
この恒等式から明らかなように、国内民間部門、国内政府部門、海外部門のうち、一つの部門の収支を変化させるには、他の二部門の収支も変化させなければなりません。
例えば、政府の黒字の拡大は、結果として民間部門か海外部門の赤字の増大をもたらすことになります。
逆に政府の赤字の拡大は、結果として民家部門か海外部門の黒字の拡大をもたらします。
なかなか世間一般にはご理解を頂けないところですが、政府収支(PB)を黒字化しようとすると、結果として民間部門から政府へと貨幣が吸収されてしまうため、企業も家計も貧しくなってしまうのです。
即ち、鈴木財務相の言う「PB黒字化目標」とは国民貧困化目標であり、なんとしても2025年までにそれを達成したいということです。
そんな愚にもつかぬ政治家や政府を選挙で選んでいるのは、私たち国民です。