きのう自民党の税制調査会は、防衛費を増額するための財源確保策の骨格をまとめました。
確保策の骨格は、やはり増税でした。
誠に苦笑するほかない。
例えば法人税については納税額に4%から4.5%を上乗せする付加税を課すようですが、その実施は「2024年以降の適切な時期に…」として決定が先送りされています。
なお、税目ごとの増税規模についても明示することは見送られたようです。
先送り、見送り、せざる得ないのは、そうでないと党内がまとまらない…との判断からでしょう。
いずれにしても、おカネはどこからか持って来なければならない「モノ」である…という商品貨幣論(貨幣のプール論)に陥っているかぎり、先行きは暗い。
それでも当ブログでは、おカネとはモノではなく負債であり、それを手にするものにとっての資産であること、そして自国通貨建てで国債(負債)を発行できる政府に財政破綻(デフォルト)など絶対にあり得ないことを根気強く訴え続けていきたいと思います。
とにもかくにも、政治行政の世界では財源論に陥ったら政策論は負けです。
さて、私には財源論以外にも憂えざるを得ないことが一つあります。
もしも台湾有事が発生した際、我が国の自衛隊がどのような法的根拠で対応するのかです。
第二次安倍政権下で行われた安保法制懇の議論を通じて、我が国では「集団的自衛権」を行使することが事実上可能となりました。
なので多くの政治家や国民は、台湾有事には米国や、他の同盟国との集団的自衛権で対応するものと思い込んでいるらしい。
しかしながら、それは明らかに間違った解釈であると言わざるを得ません。
そもそも米国が日本に集団的自衛権の発動を求めてくることなどあり得ないし、国連に加盟していない台湾とともに米国が集団的自衛権を行使することもあり得ない。
国連憲章に書いてあるように「集団的自衛権」は「集団安保の集団的措置」が発動するまでの緊急措置に過ぎないわけですが、国連に加盟していない台湾が、どのような法的根拠で米国に集団的自衛権の行使を求めるのでしょうか。
よって、米国が台湾有事に介入するとすれば、おそらくは中国を当該地域の秩序破壊者と認定し「集団安保の集団的措置」(米国を中心とした有志連合軍)で対応するものと推察します。
とすると、我が国もまた「集団安保の集団的措置」への参加で対応せねばならないことになります。
財源論と同じように残念なのは、今なお集団的自衛権と集団安保措置の違いを説明できる政治家が殆どいないことです。