金利ゼロ、担保ゼロで融資されてきた、いわゆる「ゼロゼロ融資」は、新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けた多くの企業の経営を底支えしてきました。
しかしながら「ゼロゼロ融資」の新規実行は2022年で終了し、2023年には返済開始の山場を迎えることになっています。
コロナ以前の長期停滞(デフレ不況)、そしてコロナ禍にともなうサプライチェーンの寸断等で苦境に立つ企業をかろうじて支えてきたのが「ゼロゼロ融資」で、その融資総額は43兆円になります。
昨今ではウクライナ戦争等の影響も相まって円安や物価高が直撃していますが、輸入物価が高騰している一方でGDPデフレーターが落ち込んでいるところを見ますと、多くの企業が仕入れ価格の上昇分を価格に転嫁できていない実態が浮き彫りになっています。
このまま価格に転嫁できない状態が続けば、多くの企業が倒産に追い込まれていくのではないかと懸念されます。
そうしたなか、来年4月には電気料金の本格的な値上がりが予定されており、加えて輸入小麦の政府売り渡し価格も上昇することが見込まれているなど、明るい見通しがまったく立ちません。
しかも来年10月からはインボイス制度が導入され、その上でゼロゼロ融資の返済がはじまるわけです。
そのうえ岸田内閣及び政府与党は防衛費の増額分を歳出カットと増税によって賄おうとしているのですから、そら恐ろしい。
そもそも「ゼロゼロ融資」は、政府のコロナ対策の失敗や緊急事態宣言によって強制的に営業をストップさせられた企業を倒産させないために行ったものです。
現に倒産は減りました。
本来であれば粗利補償すべきだったところを、「日本は破綻するぅ〜」という緊縮財政派の政治パワーに負けて政府与党はゼロゼロ融資に逃げたわけです。
むろん、やらないよりはマシだったわけですが…
ゼロゼロ融資の返済については、例えばコロナ前とコロナ後の決算を比較し黒字になった企業は、ゼロゼロ融資で借りた銀行預金がそのまま残っているでしょうから、それで返済すればいい。
しかしながら、そんな企業はほとんどないでしょう。
多くの企業がコロナ以前よりも赤字になっているでしょうから、ゼロゼロ融資とはいえ、その返済は多くの企業にとって大きな重荷になってしまうはずです。
前述のとおり、ゼロゼロ融資の返済だけでなく、企業をとりまく経済環境は日に日に厳しくなっています。
ゆえに政府は英断をもって「ゼロゼロ融資」の債務免除を行うべきです。
と言っても、防衛費増額分を増税で賄おうとしている政府ですから、そんなことを期待できるわけもなく…