防衛予算の拡大に増税の必要はない!

防衛予算の拡大に増税の必要はない!

政府(与党)は、防衛費について来年度以降の5年間で総額40兆円超とする方向で調整しているらしい。

「ええっ、そんなにぃ〜!」と驚かれる人たちがいるかもしれませんが、現行の中期防衛力整備計画のわずか1.5倍ほどに過ぎず、けっして驚くような数字ではございません。

例によって日本経済新聞は「恒常的にかかる防衛費の安定財源には増税が選択肢となる」と報じています。

収支縮小均衡主義の財務省としては、個別税目の本来の税率は変えず特例措置を上乗せする「付加税」なるものを検討しているようです。

既に増税する気満々のようですが、正気の沙汰とは思えない。

いつも言うように、増税(徴税)は国民の持つ現金(円)を政府が徴収する行為です。

国民は円を稼ぐ立場であって、円を発行することはできません。

言うまでもなく、円(日銀券)を発行しているのは政府(日銀)です。

日銀券を発行できる政府が、どうして国民がせっかく稼いだ日銀券を徴収しなければならないのでしょうか。

もしかすると多くの国会議員が知らないのかもしれませんが、円(日銀券)は「国債」を担保にして発行されています。

国民経済のパイが増えれば増えるほどに円の需要は高まりますので、政府はその分、円という貨幣の発行量を増やさねばなりません。

明治政府以来、我が国政府の貨幣発行量は既に4,000万倍ちかくにまで拡大しています。

経済が成長すればするほどに貨幣発行量が増えていくのは当然のことです。

といって、ときおり経済成長の過程でインフレ率が高まり過ぎる場面があります。

そのときは貨幣発行を抑制し、逆に貨幣を回収しなければなりません。

ここでいう貨幣発行こそが「国債発行」のことであり、貨幣回収こそが「徴税」のことです。

政府は「国債発行(貨幣発行)」と「徴税(貨幣回収)」によって、国民経済の貨幣量(経済の需給バランス)を調整するという機能を果たしています。

たしかに今の日本はコストプッシュ・インフレ(スタグフレーション)に見舞われているものの、経済情勢は依然としてデフレ(貨幣不足)の中に在ります。

デフレになるということは、モノやサービスを生産する力(供給能力)に余力があるということであり、または国民や企業のおカネを使う力が弱いということです。

このような状況下においては、政府は国民から円を徴収すべきではありません。

むしろ政府が率先して円を放出し、需要を拡大することが必要です。

政府の率先した円の放出とは、むろん国債発行額と財政支出の拡大です。

自国通貨建てで国債を発行でき、変動為替相場制を採用できるほどの供給能力を有している我が国においては、政府による国債発行こそが「安定財源」なのでございます。

防衛費の拡大は、安定財源である国債発行で賄うのが常道です。