去る10月23日、中国共産党は中央委員が最高指導部を構成する政治局常務委員を選出し、習近平氏の3期目続投が確定しました。
どうやら習近平主席は、建国の父とされる毛沢東以来最も強力な指導者になりたいらしい。
そんな中国では、新型コロナウイルス感染拡大が深刻度を増しているという。
再びロックダウン(都市封鎖)か…
もしそうなれば、中国人民の不満は一層高まるのではないでしょうか。
そうでなくとも、北京政府には不安材料が多い。
なにより中国経済は失速しています。
年間の経済成長率は2桁台から1桁台に減速しており、まもなく1桁台前半になる見込みです。
これまで政権の正当性を支える要因であった「高い経済成長」は既に形骸化しているのは明らかです。
それに、日本も顔負けの人口動態トレードはさらなる高齢化(少子化)を招き、今後は慢性的な労働力不足は免れない。
こうした厳しい経済環境は中国の平均的市民の生活レベルを低下させ、社会の秩序と共産主義体制への暗黙の支持を脅かすことになります。
いかに政治的に抑圧されようとも豊かになることで納得してきた人民の多くが、その豊かさすら実感できなくなれば、共産主義体制への不満が高まることは必至です。
それでも習近平主席はプーチン大統領と同様に、権力継承を困難にするかたちで自らの権力を強化しているため、今後は権力抗争が誘発される懸念もあるのではないでしょうか。
少なくとも、今後10年で厄介な指導者交代のプロセスに翻弄されることになるにちがいない。
もしも内部抗争が激化した場合、次の二つのプロセスが考えられます。
一つは内部抗争の結果、体外活動を控えざるを得ず、意外にもより温厚な指導者が登場するかもしれない。
もう一つは、党員幹部の支持を確保し、人民の関心を国内から目を背けるために、さらにナショナリスティックな外交政策へ向かうシナリオです。
果たしてどうか…
ただ現在の習近平執行部は、中国が輸出や外国市場へのアクセスに多くを依存していることから、それを阻害するような攻撃的な行動は割に合わないと考えているようです。
一方、国外をみますと、北京は高い経済成長を背景に攻撃的な外交政策を採ってきたわけですが、足元を見透かした近隣諸国は既に中国との距離をとりはじめています。
不確実性の高まる世界ですが、中国もまた大きな曲がり角に直面しています。
とはいえ、フリードリヒ・リストが言うように「大国民は現状を維持することはできず、それは発展しなければ衰微するものである」のですから、何ら不思議なことでもありません。
アジアの大国の動向は、それが繁栄するも衰退するも巨大な象が倒れるがごとく近隣諸国に対して政治的・経済的に大きな影響を与えています。
そのことへの対処策については、我が国の政治指導者、あるいは政策立案者たちが既に考えてくれていることを切に期待します。
むろん、その前に我が国が衰退しないようにした上で!