先日、北海道で陸上自衛隊と米国海兵隊との共同訓練(レゾリュート・ドラゴン22)が行われたところですが、来月10日から19日にかけては更に規模を拡大して日米共同統合演習(キーン・ソード23)が実施されます。
むろん訓練の目的は…
①あらゆる事態に即応するための抑止力・対処力を強化すること
②日米の強固な意思と連携を内外に示すこと
…です。
キーン・ソード23には自衛隊から約2万6千人、米軍から1万人が参加する予定で、今年度最大規模の共同演習となります。
なお訓練の一部には、連携要領の維持と強化を図るためにオーストラリア軍、イギリス軍、カナダ軍も加わります。
こうした多国間の共同訓練は極めて重要です。
いつも言うように、地域の平和と安全の確保に積極的に関与(寄与)していくことが日本そのものの防衛につながります。
「日本一国だけの平和」などあり得ないので、各国と協力して地域の平和と安全を護るという意思と能力が必要なのでございます。
因みに、防衛省の発表によれば、訓練の一環として沖縄県内の民間港も使用される予定です。
自衛隊の活動に必要な装備品や補給品の輸送能力を向上させるために、地方自治体が管理する港湾も訓練現場とされるわけですが、防衛省は地元の自治体や関係者に対し丁寧に説明をされるものと拝察します。
今回は沖縄ですが、川崎市にも川崎港、横浜市にも横浜港があるように、民間港の管理は基本的には地方自治体に委ねられておりますので、そのことは私ども地方自治体の議員もまた国防や軍事に関する知識と理解が求められている所以です。
しかしながら、とりわけ「専守防衛」という言葉が多くの人たちに大きな誤解を与えています。
「日本は専守防衛の国だから…」なんて言ってしまったら、外国から「なんだ日本の自衛隊は自衛のためにしか動かないのか…」と思われかねないし、現にそう思っている日本国民は少なくない。
例えば、我が国が安定した経済活動を営むためには、どうしても輸入に頼らざるを得ない「資源」や「食料」を安定的に確保しなければなりません。
そうした資源や食料の安全な海上輸送を確保するには、当然のことながら、その海上輸送路(シーレーン)を集団防衛(Collective-Defense)で守る必要があるわけです。
マラッカ海峡やソマリア沖では令和時代の今なお海賊が出没するし、いったん台湾危機が発生すればバシー海峡だって危うい。
そのとき「我が国は専守防衛の国だから、シーレーン防衛には参加できません。どうぞ外国の皆さんが血を流してください…」と言うわけにはいかないのです。
岸田総理は憲法9条改正の必要性をいい、いわゆる護憲派はそれに反対しているわけですが、そもそも憲法9条には「日本は集団防衛(Collective-Defense)に参加してはならない」などと書いてありません。
しかしながら、日本国憲法98条2項には「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と明記されています。
ご承知のとおり、我が国は昭和31(1956)年に何の留保事項もつけずに「国連」に加盟しており、国連憲章に謳われている義務を誠実に履行することを国際社会に約束しております。
言うまでもなく国連憲章は集団安全保障についての国際基本法であり、そこでは「集団(的)安全保障とは、戦争を放棄し、連合国によって①話し合いをし、②必要に応じ経済制裁をし、③それでも駄目な場合には連合国としての武力制裁によって平和を維持することであり、④すべての加盟国はこの憲章に従って負っている義務を誠実に履行しなければならない」ことが謳われています。
つまり日本国憲法には「自衛権」のことも「集団安全保障」のことも全く書かれていないのですが、国連憲章には明確に書かれており、日本国憲法は「国連憲章で謳われている義務を誠実に履行しろ…」と言っているのです。
自衛隊を、何のわだかまりもなく「集団防衛(Collective-Defense)」に参加できる組織にしなければならない。