二日連続による北朝鮮のミサイル発射

二日連続による北朝鮮のミサイル発射

29日、北朝鮮が2発の弾道ミサイルを発射しました。

防衛省によると、一発目は午後8時47分ごろ、二発目は8時53分ごろに発射されたとのことです。

日本海に向けて発射されたようですが、2発はいずれも我が国のEEZ(排他的経済水域)の外側の北朝鮮東岸付近に着弾したとみられています。

この発射による航空機や船舶への被害情報は入っていませんが、実は北朝鮮は前日(28日)にも弾道ミサイルを2発発射しています。

北朝鮮が二日連続で弾道ミサイルを発射したのは初の事例となります。

巡航ミサイルも含めますと、北朝鮮によるミサイル発射は今年だけで21回に及びますが、我が国の首相も防衛相も毎度お馴染みのように「遺憾の意」を強調しつつ「引き続き警戒監視を怠らない…」と述べるに留めています。

さて、このような北朝鮮によるミサイル脅威もあって、数年前から我が国では「敵ミサイル基地攻撃能力の保有」が検討されはじめたのは周知のとおりです。

即ち、北朝鮮が日本の本土に向けてミサイルを発射するような事態になった場合、日本が敵地(北朝鮮)のミサイル基地を攻撃し破壊するための攻撃能力をもつという構想です。

ご承知のとおり、敵地攻撃能力については賛否両論あって未だ結論には至っていません。

例えば、産経新聞あたりが「敵地攻撃能力の明記を…」と主張すれば、朝日新聞や東京新聞あたりが「専守防衛の原則を忘れるな…」と論評するといった具合です。

敵地を攻撃するといっても、軍事的な観点から考えますと、それはそれで至難の業です。

米国ですら「目標情報がつかめない…」と嘆いている現状で、日本がどのようにして独自に目標情報を得るのかが重要なポイントの一つです。

北朝鮮を24時間監視するためには、どれだけの偵察衛星が必要になるのか。

仮に偵察衛星網を敷くことによってミサイルを発射した場所を特定できたとしても、移動式発射台ですのでミサイルはすぐに移動してしまうことになるでしょう。

機械的な監視には限界がありますので、やはりどうしても人的な情報収集をもっと強化しなければならないということになります。

むろん、攻撃兵器の問題もあります。

日本が核兵器を保有していれば、敵ミサイル陣地にでも、あるいは平壌のような都市にでも効果的な攻撃ができるでしょうが、核はないのですから、攻撃のためには空爆であろうとトマホークのような巡航ミサイルであろうと、天文学的な弾量を整備する必要があります。

一方、それ以上に問題となるのが、韓国が日本の攻撃を許すのかということです。

韓国には「あの土地(北朝鮮の土地)は我々のものであって、日本に勝手な真似はさせない…」「そんなことをするなら、我々が日本の相手をしてやる…」という意見も根強い。

日本も韓国もともに北朝鮮を脅威としている国であり、ともに米国の同盟国として日米韓は協力関係にあるはずですが、それ以上に韓国の対日感情は複雑です。

例え軍事技術的な問題をクリアできたとしても、そうした複雑な問題が存在することを私たちは認識せねばならないのでございます。

だからといって何もしなくていいかといえば、むろんそうではありません。

ここで従来型の「個別的安全保障」ではなく、「集団安全保障」(集団的自衛権ではない)の枠組みの中で対応を考えることが重要になってくるのだと思います。