去る9月11日、沖縄県知事選挙(投開票)が行われ、現職の玉城デニー氏が再選されました。
そして改めて、米軍普天間基地の辺野古移設に反対の意を示しています。
一方、対する日本政府もまた「日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策だ」として、辺野古移設を継続する意を強く表しています。
一部報道では…
① 辺野古移設が決定されてから現在に至る期間に米中軍事バランスは急激に変化している
② 米国(海兵隊)の対中戦略は変化している
③ だから辺野古移設が今なお日米同盟の抑止力の維持にとって重要な要素なのか疑問だ
…という意見がでています。
こうした意見が辺野古移転に反対する人たちにだいぶ支持されているようですが、この種の人たちはそもそも「海兵隊とは何か?」について真剣に考えたことがあるのでしょうか。
例えば、海兵隊基地の立地条件、どのように運用し何の役に立つのか、日本としてはこれに何を期待するのか、という極めて基礎的な議論を私は聞いたことがありません。
海兵隊は、言うなれば「さきがけ部隊」です。
開戦の初期段階において迅速に後続の陸上部隊進出のための各種条件を作り出す任務を負っています。
そのため基地立地のための最低条件は、限られた時間内に目的地に到達できる位置を確保し、ヘリコプター基地と演習場とが近接していることです。
その条件を充たし、内外において政治的な妥協点を見出せそうな移転先こそが辺野古なのだと思われます。
日本政府は、沖縄県民のみならず、本土に住む日本国民に対しても軍事戦略に関する具体的な説明を尽くして広く理解を求めるべきです。
毎度おなじみとなっている松野官房長官の「原稿棒読み会見」のような説明ではなく、きちんとカメラに向かい身振り手振りを使ってでも自分の言葉で説明してほしい。
現代の安全保障は、軍事のみならず、幅広い分野で検討されるべきものでありますが、軍事は安全保障の基軸であることは疑いようがありません。
米国にも様々な意見がありますが、少なくとも軍事なしの安全保障などを主張する政治家や学者はいません。
残念ながら日本には多い。
現在、多くの日本人が「在日米軍は日本を護るために存在する」と誤解しています。
しかしそれは「日本は独立国ではない」と自ら認めることであり、間違っています。
在日米軍は、あくまでもアジア全域における平和を維持する(すなわち各国共通の利益を護る)ため、いつでも多国籍軍の中核として集団的措置(集団的自衛権ではない)をとれるように存在しています。
それによってもたらされるアジア全域の平和は日本の利益防護のために重要となり、我が国の主権防護にも良い影響を与えます。
そのために我が国は、米軍および朝鮮国連軍に対して基地を自主的に提供し世界平和に協力しているわけです。
むろん、米国の対中戦略が変わったのかどうかには関係なくです。