世はダイエット時代。
とりわけ糖質を避けるため、おコメを食べる量を減らしている人たちは多いことでしょう。
いや、完全におコメを断っている人さえおられます。
しかしながら遠くない将来、日本国民の主食たる「日本米」を二度と食べられなくなるであろう時代が到来します。
「おコメを食べられない…」というより、私たち日本国民が食糧危機に見舞われる可能性があるのです。
そうなるとダイエットもへったくれもない。
農中総研(農林中金総合研究所)が試算した『水田作経営(個人)の作付け面積別にみた農業所得変化の推計』では、なんと5〜10ヘクタール以下の農家は2023年までに全てが赤字となります。
ご承知のとおり、ウクライナ危機などで肥料や飼料の資材価格が高騰(1年間で1.5倍)しており、農家経営が大いなる打撃を受けています。
因みに、水稲作付農家数は2015年から5年間で約25%も減少し、2012年の段階で農家の8割が経営耕作地面積が2ヘクタール以下となっていますので、要するにその全てが赤字経営となるわけです。
残りの2割でさえ、年収13万円以下という農家が大半です。
赤字は言うに及びませんが、年収13万円以下ではやっていけるはずがない。
しかもおコメ農家に従事されている人たちの平均年齢は67.8歳と高齢化しています。
それだけはありません。
我が国の国会議員たちは、既に2018年4月に『種子法』(主要農作物種子法)を廃止しています。
主要(コメ、麦、大豆)といっても、ほとんどがおコメです。
種子法に基づき我が国では、それぞれの地域に根ざした「多様」で「良質」で「安価」な種が安定的に農家に行き渡るよう国が管理していました。
なにせ種の管理は容易ではないからです。
精密機器並みの手間が必要で、気候、土壌、水など、地域の特徴に合わせて管理する必要があります。
「べつに自家栽培でもいいじゃないか…」という人もいますが、それでは何代も育てて行くうちに品質が落ちてしまうのです。
だからこそ政府は種子法を制定した。
考えてみてほしい。
種子法が制定されたのは1952年5月です。
その直前(1952年の4月28日)には、我が国はサンフランシスコ講和条約により我が国が独立を回復しています。
即ち独立回復直後に種子法を制定したのです。
これは「日本国民を二度と飢えさせない!」という意志表示の現れだったと思います。
その種子法を事もあろうに外資種子ビジネスのために廃止した。
なお、種子法廃止と合わせて『種苗法』まで改正(改悪)されています。
この改正は、品種の育成者の権利を護ることが目的とされていますが、ここで守られるのは大手外資の種子会社の権利でしょう。
外資が登録品種としている種の多くはF1なので、日本の農家は安全性が定かでない「外国の種」を毎年買わされることになりました。
これも農家の経営を圧迫しています。
意外と知られていませんが、日本の野菜の種はほぼ100%が外国産です。
それでいて水稲の作付け割合をみると、最も面積の大きい「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「あきたこまち」は登録外品種(一般品種)になっており、実施的にコメについては持ち込み放題の枠となっています。
さらに加えて日本政府は『農業競争力強化支援法』などという実にごもっともそうな法律をつくり、これによって我が国が積み上げ獲得してきた種に関する知見を「外資に差し出せ…」となりました。
この怒り、どこへ向かうべきか。
「TPPに加盟して、とにかく安い食料を外国から買えばいい…」と言っていた政治家や評論家がたくさんいたが、結果として彼ら彼女らは外国の手先(回し者)だったことになります。
一国もはやく、日本国民のための政治(経世済民)をとりもどさねばなりません。