ことし6月、自民党の河野太郎氏(元防衛相)がツイッター上で次のような投稿をされました。
「寒冷地や標高の高いレーダーサイトの隊舎はエアコンを整備しない基準だった。エアコン整備を一気に進めるよう促したい」
自衛隊員が生活を送る隊舎では、つい最近までエアコンのない施設があるのは一般的で、西国九州でさえ高地なら冷房は設置されていませんでした。
それがようやく、ことし3月になって「冷暖房設備を整備する」という原則に変わりました。
それでも未だに冷房のない施設が多いようで、ゆえに河野元防衛相は「エアコン整備を一気に進めるように促したい」と呟いたわけです。
エアコンの話は一例です。
隊舎では、トイレットペーパーでさえ実費負担している自衛隊員がいるほどです。
要するに、近年、米国の退潮や中国の台頭など極東の軍事バランスが変化しているなか、我が国の防衛需要は日に日に高まっています。
にもかかわらず、防衛費は対GDP比で0.9%程度。(GDPの1%すら充たしていない)
これでは装備や部隊運用に向ける予算すら足りないわけですから、隊舎など施設へまわる予算を確保することはできません。
ゆえに自衛隊の施設は、施設の老朽化、エアコンなし、トイレットペーパ等の生活必需品は自己負担、という劣悪環境になっていきました。
思いやり予算によって「高速道路」を我が者顔で走る在日米軍に対し、予算不足の自衛隊は富士の演習の行き来の際には「一般道」で移動しているなど、笑い話にもなりません。
こうした劣悪環境が人材確保を困難にしている、という指摘もあります。
ようやく来年度から防衛予算が増えるようですので、少しでも施設改善が為され、貴重な人的資本を確保して頂きたいものです。
さて、自衛隊をお辞めになる方たちの退職理由は様々ですが、私は衝撃的なエピソードを仄聞したことがあります。
せっかく米国に留学した自衛隊員が、とある理由で帰国後に退職してしまったケースがあるのですが、どうやらその方は留学先で「自衛隊(Self Defense Force)」という名称を酷く馬鹿にされ、死ぬほどに悔しい思いをしたらしい。
そもそも軍隊というものは「国を護る」あるいは「国際秩序(平和)を護る」べき存在です。
なのに…「自分の身を護る(Self Defence)軍隊なんて考えられないぞ…」と嘲笑されたわけです。
因みに、駐在武官の多くが「なんだ、あなたは護身隊(Self Defence Force)の隊員か…」とバカにされ、同じように屈辱的な体験をしています。
自衛隊員にかかわらず、人は誰しも自分の仕事に誇りをもっているわけですから侮辱を受けて喜ぶ者などいないでしょう。
本来は「自衛隊」でなく「国軍」「防衛軍」と称するべきなのですが、戦後のしがらみで我が国は「自衛隊」の名前を変更できないままでいます。
「名前よりも中味が大事だ…」という意見もありましょうが、前述の退職された隊員さんにとっては退職に値する侮辱だったわけです。
そうした現実を知った上でのことか、それとも知らぬ上でのことか、こともあろうに憲法に「自衛隊を明記する…」という政治家もいました。(今もいます)
そんな政治家の葬儀に16億円以上の国費を投じるのか。