我が国がシナ事変を戦っていた昭和15年の今日(8月19日)、漢口から飛び立った日本海軍の零式艦上戦闘機が重慶を攻撃しました。
我が国の零戦が、はじめて実践出動した瞬間です。
あの時代、零戦はまちがいなく世界最先端の制空戦闘機(エアーパワー)でした。
少なくとも、のちに米国のグラマン社が開発するヘルキャット(F6F)が登場するまでは。
大東亜戦争が終結したのち、日本を占領統治したGHQは戦闘機(航空機)を作ること、開発することを禁止しました。
ご承知のとおり、戦闘機は先端技術の塊です。
属国日本が二度と立ち上がれないようにするため、先端技術につながるものは全て禁止されたわけです。
占領期間の7年間、我が国は先端技術に触れることができなかったわけですが、この7年間におよぶ航空機開発の空白は実に大きい。
未だ一国の力で、旅客機さえ開発することができない。
国産初のジェット旅客機として期待を担ったMRJ(三菱リージョナルジェット)でしたが、残念ながら結局は失敗に終わってしまいました。
開発を凍結した三菱航空機が7月1日に決算公告を公表しましたが、2022年3月期通期の純損益は87億円の赤字となっています。
さて、世界ではいま、各国が自国の軍隊が保有している古くなった第4世代戦闘機の代替購入を進めています。
順次、第5世代戦闘機に買い替えているわけです。
そうした戦闘機市場でF35が意外にも苦戦していることは、先日のブログでも申し上げたとおりです。
F35の売れ行きが思わしくないのは購入コストの高さにあるようで、機体の高額さはもちろんのこと、パイロットを養成する費用、整備要員を育成する費用の高さを含めると相当なコストがかかるようです。
なので意外にも第4世代戦闘機であるユーロファイター・タイフーンがF35の市場におけるライバル機になっているという。
タイフーンは開発されてから既に20年くらいが経っていますが、コストが安いこと、加えて性能の汎用性が高いことから様々な軍事ミッションに利用可能であることが魅力らしい。
なお、タイフーンの製造が欧州で約10万人の高技能労働者の雇用を支えていることも、欧州各国がタイフーンを購入するインセンティブになっているのでしょう。
そしてもう一つの世界の動きは、第6世代戦闘機の開発競争です。
その先端を走っているのはむろん米国(次世代制空戦闘機計画)です。
次いで中国。
一国単独で開発できるのは米中露の3カ国だけですが、ロシアは半導体の調達面で難点があるようです。
そして、米中を追っているのがヨーロッパ勢。
ヨーロッパでは、二つの開発プラットフォームがあります。
一つが、イギリス、イタリア、スウェーデン、日本の四カ国が共同開発する「テンペスト」であり、二つ目が、フランス、ドイツ、スペインの三カ国が共同開発する「FCAS」です。
ただし、日本がテンペストに参加するのはF2後継機の開発計画と完全結合した場合が前提となりますが、ほぼそうなるでしょう。
テンペストはイギリスのBAEシステムズが主導している開発計画で5年以内の初飛行を目指しています。
参加する日本企業は、三菱重工、IHI、三菱電気、川崎重工、SUBARU、東芝、富士通、NECといったところです。
言うまでもなく制空戦闘機の能力は、戦場において航空優勢を確保するための能力そのものです。
そのエアーパワーは、国際政治においても重要なファクターとなっています。
ゆえにテンペストの共同開発においても、我が国の航空産業の技術力が存分に活かされるか活かされないかで、国際政治における我が国の地位に大きな影響を与えます。