きのう、IMF(国際通貨基金)から経済成長見通しが発表されました。
2022年の世界経済の実質成長率見通しは、3.2%に下方修正されています。
4月時点の見通しは3.6%でした。
歴史的なインフレ(日本はコストプッシュ・インフレ)と、それに対応する米欧の利上げ、あるいは中国の都市封鎖による影響が世界経済の足かせになります。
せっかくコロナ禍から回復していた世界経済は急減速し停滞感を強めています。
今年の1月時点でIMFは、日本の2022年の成長率見通しを3.3%としていましたが、1月には3.3%、4月には2.4%と下方修正し、また今回も更に下方修正され、1.7%です。
1.7%は、先進国及び新興国のなかでワースト1です。
なぜにこうも我が国だけが成長しないのか。
昨日のブログでも申し上げましたとおり、私たち日本国民が豊かになる、つまり実質賃金を引き上げるためには、①生産性を向上させるか、②労働分配率を高める必要があります。
①の生産性向上とは、従業員一人あたりの付加価値(モノやサービス)の生産量を増やすことです。
例えば、一日に10個のパンを生産し、それを売ることができれば、生産者の所得は10個分です。
それが、生産性が向上し一日に50個のパンを生産することが可能になったとすれば、所得はいきなり5倍に増えることになります。
しかも名目の給料の金額ではなく実質で増えているわけです。
では、生産量を一気に5倍増やすためにはどうしたらいいのでしょうか。
それまでの5倍の時間を働くのでしょうか。
無理ですね。
人間は一日に24時間以上、働くことは出来ません。
働く時間は変わらずに生産量を5倍増やすには、むろん「投資」以外に手段はありません。
ていうか、生産性は投資以外では向上しません。
投資とは、その名のとおり資本を投じることです。
ここでいう資本とはおカネのことではなく、インフラ、工場、設備、機械、運搬車両などの固定資産のことです。
要するに、生産のために必要な「モノ」のことです。
投資には次のとおり4つの種類があります。
1.公共投資
2.設備投資
3.技術開発投資
4.人材投資
この4つだけが、生産性を向上せしめる具体的手段です。
ところが、先進諸国のなかで我が国だけが、これらの投資を怠ってきました。
上の図は、日本の投資の推移です。
なんと1997年のデフレ化以降、日本の投資総額はひたすら下がりつづけ、未だに1996年の水準を回復していません。
こんな国が経済成長するはずがないのでございます。
むろん、この問題の本を正すと、財政収支の均衡至上主義があります。