きのう、総務省から6月の消費者物価指数が発表されました。
変動の大きい生鮮食品(生鮮魚介、生鮮野菜、生鮮果物)を除く総合指数(コアCPI)は前年同月比で2.2%の上昇となり、黒田バズーカ(異次元緩和)以来、日銀の物価目標となる2%をはじめて超えました。
消費税増税の影響を除くと、13年9カ月ぶりの上昇ということになります。
だからといって「物価目標を達成したから量的緩和を終了します」とはならない。
なぜなら、コアCPIにはエネルギー価格が含まれていますので、その上昇による影響が大きいこと、またエネルギーをも除いたコアコアCPIは0%です。
食料品やエネルギー価格が上昇しているものの、依然として国民経済はデフレの中にある以上、日銀としても金融緩和をやめるわけにはいかない。
利上げなどは、もっと考えられない。
米国や欧州の中央銀行が利上げしているなか、日銀だけが利上げできずにいるために円安が進み、そのことがまた輸入物価を押し上げ景気を悪化させるという悪循環に陥っています。
ただし、なんどでも言いますが、円安そのものが問題なのではなく、円安にともなう物価上昇(コストプッシュ・インフレ)が問題なのであって、そのことに対する政策が求められています。
コストプッシュ・インフレの本質は供給制約にあります。
よってその対策は、供給力を強化して供給の制約を緩和することに尽きます。
例えば石油価格の上昇にともなうインフレであれば、省エネルギーのための設備投資や技術開発、より長期的には油田開発や石油に代わるクリーン・エネルギーなどの開発も必要になります。
あるいは、輸入食料の価格上昇にともなうインフレであれば、国内の食糧生産を拡大するほかありません。
これらの分野への投資に対する減税措置、もしくは政府による継続的な財政支援はもちろんのこと、加えて交通、通信、電力などのインフラの整備、研究開発、人材育成もまた供給能力の拡大には欠かせない。
むろん、食料品等の物価高に苦しんでいる消費者サイドに対しては、消費税の減税もしくは廃止、あるいは定額給付金などの財政支援が必要です。
いつも述べておりますとおり、結局は政府による積極的な財政政策(歳出の拡大)が求められているのでございます。
不幸中の幸いもあって、我が国のコアコアCPIはゼロ%です。
つまり日本政府には、財政支出を拡大する余地、国債を発行する余地が充分にあるということです。