きのう、「川崎市議会令和4年第二回定例会(6月議会)」が全ての日程を終え閉会しました。
開会中、議会に向かう電車のなかで、通勤途中のビジネスマンやビジネスウーマンを見かけました。
どうして彼ら彼女らがビジネスマン、あるいはビジネスウーマンだと分かるのかというと、けっして服装で判断しているわけではなく、手に「日本経済新聞」を抱えておられるからです。
仕事上、日本経済新聞を読むことで少しでも日本経済の現状を知っておきたい、ということかと思われます。
しかし残念ながら、朝日新聞を読んでも昭和史を正しく理解できないのと同じように、日本経済新聞を読んでも日本経済を正しく理解することは難しい。
というより、不可能といっていい。
なぜなら、経済とは貨幣を中心にした社会活動のことですが、その貨幣について正しく理解できてない今のメディアが正しい経済を報じることなど絶対的に不可能だからです。
かつて田中角栄元総理は「新聞に掲載されていることで正しいのは、テレビ欄と株価だけだ」と仰せでしたが、今もってなおメディアの本質は変わっていないでしょう。
今朝の日本経済新聞にも次のような記事が掲載されています。
『債務のGDP比「263%」 財政再建、具体像先送り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA249C80U2A620C2000000/
日本は新型コロナウイルスの感染拡大に対応する予算を確保するため、巨額の国債発行を続けた。政府債務が国内総生産(GDP)に占める比率は263%と、財政状況は先進国で最も悪い。厳しい財政のもとで単なる「ばらまき」は将来にツケを残す。経済の成長につながる投資と、その財源をきちんと示せているかが論戦の注目点となる。(後略)』
要するに日本経済新聞は「政府債務残高がGDP比で263%にも及んでいるけど、それを返済するための財源を示すことが政治の責任だ」と言っています。
まぁ相変わらずですが、この記事を冷静に読めば(正しく貨幣を理解すれば)、少なくとも次のように反論しなければなりません。
・政府債務残高はGDP比263%ですが、それで何か問題でも?
・発行国債の半分以上は既に日銀が保有しており、その分の債務は実質的に消滅しているのでは?
・そもそも国債は返済の必要のない借金であることをご存じないのですか?
・自国通貨建て国債を税収で償還している国なんてあるんですか?
・「ばらまき」の定義って何?
他にも突っ込みどころはたくさんありますが、何を言っても彼らには誠実に答える気などないでしょう。
なお日本経済新聞が言うところの「財政再建の具体像」とは、即ち「増税」のことです。
つまり「増税という財源によって政府債務を縮小させろ…」と言っているわけです。
ゆえに日本経済新聞を読んだ人たちは「なるほど増税によりクニのシャッキンを減らさねば…」と理解してしまう、という構図です。
そういえば、朝日新聞もまた「財源(増税)を示せないのは無責任だぁ〜」と言っていましたね。
朝日も日経も同じ穴の狢です。
何度でも言います。
財源の確保とは貨幣の確保にすぎず、その貨幣は政府が債務を負うことで創造されます。
しかも政府が発行する自国通貨建ての国債(債務)については、企業や家計の債務とは異なり返済不能に陥ることはあり得ません。
それが真実です。
だいたいからして、円という自国通貨を発行できる政府が、どうしてわざわざ国民から円を回収(増税)しなければならないのか理解に苦しみます。
日本経済新聞を購読されている皆さんには申し訳ありませんが、そうした真実を報じない新聞をいくら読んでも残念ながら真実にたどり着くことはできません。
ただ現実の世の中では、多くの人々が日本経済新聞の言っていることを盲信しています。
政治とは、まさに情報戦であることを痛感させられます。
この情報戦では、正しい貨幣観を持つものが未だ劣勢に立たされています。