きのう、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる『骨太の方針』の案が公表されました。
『骨太の方針』とは、年末の予算編成や税制改正に向け政策の方向性を決定する文書であり、小泉内閣以来、毎年6月に閣議決定されてきました。
歴代政府はこれまで、財政健全化は常に正しい…という間違った財政観から「国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2025年度までに黒字化する」という文言を明記してきました。
なんと今年は、ついに「2025年度の財政再建目標を堅持する」という記述がなくなる見通しらしい。
と、喜んだのも束の間でした。
方針には「これまでの財政健全化目標に取り組む」という記述は残るらしく、「目標そのものは変えていない」と政府は説明しています。
がっくり。
おそらくは党内に台頭してきた積極財政派への配慮から、このような「妥協案」が示されたのだと思われますが、2025年という具体的な年度が削除されただけで、健全財政(緊縮財政)目標が堅持されている以上はなにも変わりません。
その証拠に、岸田文雄首相はバイデン米大統領との首脳会談で「防衛費の相当な増額…」を表明したものの、なんと当面の増額分については「つなぎ国債」で賄うとしています。
つなぎ国債とは、将来見込まれる特定の歳入を償還財源として発行される国債をいいます。
即ち、特定の歳入とは、経済成長に伴う自然増収がないかぎり、まちがいなく「増税」です。
要するに岸田総理は「増税を前提とした国債発行で防衛費を増やします」と言っているわけです。
冗談も休み休み言ってほしい。
少し説明が必要かもしれません。
多くの国民が誤解していますが、政府による国債の発行と償還は原則として「借り換え」の連続であり、税金で償還されるものではございません。
それがグローバルスタンダードです。
しかしながら、愚かにも我が国の総理は防衛費を確保するために「増税を前提に国債を発行する…」と言っているわけです。
まさに経済・財政に関する無知を曝け出していると言わざるを得ない。
もっと言えば、貨幣(通貨)に関する無知です。
現代貨幣理論(MMT)を理解できないがゆえに「おカネ(財源)はどっかからか持ってこなければならない…」という金属主義思想に毒されています。
このままでは、我が国は「財政健全化」という毒矢で滅ぶことになります。
こんな亡国内閣なのに、なぜか支持率は内閣発足以来の高水準に達しています。