去る24日、中国とロシアの爆撃機計6機が日本周辺を飛行しました。
中国とロシアの爆撃機それぞれ2機が日本海で合流し、東シナ海まで飛行した後に中国機2機が別の2機と入れ替わってロシア機2機と共に太平洋へ抜けていきました。
中露の国防省が「共同で哨戒活動を実施した」とそれぞれ発表しています。
中露の軍用機が共同で日本周辺を長距離飛行するのは2021年11月以降4回目となりますが、この日は日米豪印のクアッド首脳会議が行われた日であったことから、あからさまな挑発行為だったことは間違いありません。
当然、航空自衛隊の戦闘機がスクランブル発進したようです。
岸田総理も記者団に「これまでに比べて挑発度を増すものと考える」と語ったとのこと。
今朝、自民党政調の外交部会でもこの件が議題に上がったようで、「ヒゲの隊長」こと佐藤正久外交部会長が怒りを顕にして「(中露の共同飛行は)常軌を逸した示威行動であり、日本も自衛隊によるオホーツク海での訓練や台湾海峡の通過を実施すべきだ」と発言されていました。
隊長のお怒りはご尤もですが…
我が国(日本政府)はこれまで、日本領土や日本周辺の自衛だけを考え、米国や友好国が軍事面から国際平和を維持するための『集団安保の集団的措置』に積極的に参加することがありませんでした。
例えば、米軍が行っている“航行の自由作戦”に参加したこともない。
“航行の自由作戦”とは、相手国(中国)が権益を主張する海域で、敢えて軍艦を航行させることでその主張を認めないことを示す米軍の軍事活動です。
中国は自らが主張する海域から米軍を追い払うためにA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略をとっています。
そのため米国海軍は南シナ海でたびたび“航行の自由作戦”を実施し、中国が主張する領海のなかを通過しています。
因みに、トランプ政権時代、米国が中距離核戦力(IMF)全廃条約から離脱したのも、比較的安価な通常の地上発射ミサイルで中国のA2AD戦略に対抗するためです。
日本政府は米軍による“航行の自由作戦”を支持してはいるものの、海上自衛隊を参加させたことがありません。
“航行の自由作戦”への参加は『集団安保の集団的措置』に付随するものであり、国内法的にも何ら問題がないにもかかわらずです。
参加させない理由はおそらく、中国経済に依存している日本企業や経済界への配慮、および「自衛隊の海外派兵だぁ…」という批判を恐れてのことだと推察します。
挑発されて腹立たしいのであれば、我が国も普段から『集団安保の集団的措置』に参加するべきです。
ていうか、何の留保事項も付けずに国連に加盟した日本には『集団安保の集団的措置』に参加する責務があります。
自国の領土が脅かされたときだけしか自衛隊を動かさないから、我が国は世界から「日本一国平和主義」と揶揄されるのです。
占領憲法にも「自国のことのみに専念してはならない」と書いてあるのに…