PB黒字化目標を破棄できなければ…

PB黒字化目標を破棄できなければ…

本日、今国会に提出される「補正予算案」が閣議決定されます。

その規模のショボさに驚かされました。

歳出総額で、たったの2兆7000億円です。

例によって『日本経済(があまりよくわかっていない)新聞社』は、「財源を全額、赤字国債でまかなう…」と、毎度お約束のフレーズを記事に添えて報じています。

いかにも「国民の皆さん、また国の借金が増えるんですよっ…」と言いたげです。

それにつけても、2兆7000億円の内訳をみると実に腹が立ってきます。

1兆1739億円分はガソリン等の価格高騰を緩和するために支出した経費の延長のようですが、残りは4月末に支出した予備費の埋め戻しです。

なめてんのか…

4月に内閣府から発表された昨年の第4四半期のGDPギャップ(潜在GDP−名目GDP)は、マイナス3.1%です。

即ち、約17兆円分のデフレギャップがあるとのことですが、ご承知のとおり竹中平蔵氏が閣僚時代に潜在GDPの定義が変えられ、それまでは「最大概念のGDP」だった潜在GDPが「平均概念のGDP」の潜在GDPにされてしまったがゆえに、実際のデフレギャップはもっと大きい。

おそらくは、25兆円から30兆円の需要不足(デフレギャップ)があるはずです。

なのに…

たったの1.2兆円弱ですか?(総額のうち1.5兆円は予備費)

なお、6月上旬には『骨太の方針2022』が閣議決定される予定になっていますが、どうやら岸田内閣は「2025年度までのPB黒字化目標達成」を盛り込むらしい。

もしも盛り込まれるようなことになれば、日本経済は恐ろしい状態になりますよ。

内閣発足当初は「新しい資本主義…」だの「小泉以来の新自由主義を改めて…」だのと随分と調子のいいことを宣っていましたが、結局は財務省が主導する緊縮路線を変えることができなかったことになります。

それに、この不況下においてもなお株主への配当金だけは増え続けていますので、これまでの株主資本主義は何ら変わっていません。

繰り返しますが、政府の緊縮財政路線が変更されないかぎり、今年下半期の日本経済は深刻な状況になることが予想されます。

需要不足によって仕事にありつけない企業や労働者が増えるだけでなく、金融機関の貸し渋りや貸し剥がしに見舞われる事業者も増える可能性が大です。

こうした政府の無策や愚策に対しては、普通の国なら国民の怒りが爆発して暴動に至るところですが、我が国では暴動には至らず経済苦に陥った人たちによる自殺が増える傾向にあります。

デフレ経済下での緊縮財政は「ヒトを殺す凶器」であることを知ってほしい。