昨年(2021年)11月に銀行法が改正されたことを知る日本人は、いったいどれほどおられるでしょうか。
それまで銀行は、非上場の中小企業に対して15%までしか出資ができませんでしたが、改正銀行法により100%の出資が可能となりました。
むろん、外資規制はありません。
不思議なことに、銀行法の改正を見越したように2019年の段階でゴールドマン・サックスが日本国内での銀行免許を取得しています。
今後、せっかく技術力はあるけれどデフレとコロナ経済で経営体力が弱ってしまった中小企業の多くが銀行に安く買われ、高く売られることになるでしょう。
決算の際、できるだけ現金があったほうが財務諸表の見栄えが良くなることから、ゴールドマン・サックスでなくとも銀行は購入した中小企業(事業会社)を外資等に売却していくはずです。
日本の銀行の多くは既に外国資本が入っていますので。
例えば、いわゆる「竹中プラン」(金融再生プログラム)で自己資本比率を引き下げられ、外資による増資が行われたりそな銀行の株主保有者をみると、2022年3月末現在で37.46%が外国人です。
銀行法が改正される前にゴールドマン・サックスが銀行免許を取得していたことが「全くの偶然だった…」と思うようなお〇〇さんなどこの世にはいないでしょう。
一方、2018年に入管法が改正されたときもそうでした。
入管法とは、外国人の在留手続きや難民認定などについて定めている法律です
それが2018年の改正により規制が緩和され、外国人労働者の受け入れが大幅に拡大、それに関わる業務も拡充されました。
結果、2021年の段階で、我が国の外国人労働者数は172万7000人を超えています。
これによって、安価な出稼ぎ外国人労働者が一層流入しやすくなり、日本人労働者の給与に更なる低下圧力がかかりました。
当然のことながら人材の流動性も高まりますので、今後益々、非正規雇用が増えることでしょう。
ここでも不思議なことが起こりました。
入管法が改正されたのは2018年4月なのですが、その年の2月には、人材派遣会社大手のパソナが改正入管法に対応した『外国籍人材定着支援サービス』なる事業を行う旨を公表しています。
『外国籍人材定着支援サービス』とは、外国人労働者が入社する前、そして入社した後にパソナが定期的なフォローアップを行い、その「報告書」を提出することで企業が外国人労働者を採用しやすくするというサービスです。
改正入管法が成立する直前に、パソナは当該事業を行う旨を発表していたわけです。
随分、用意のいい話です。
実は、入管法の改正を主導したのは内閣府の国家戦略特区諮問会議です。
国家戦略特区諮問会議のメンバーのお一人が…
もうお解りですね。
そうです、パソナグループ取締役会長さんです。
それまで規制され参入できなかった利権に、ロビー活動等による法律改正や規制緩和によって強引に割り込み、その利権の一部を着実に得ることを「レントシーキング」といいます。
レントシーキングを行う人を「レントシーカー」といいます。
今、我が国の政治はこうした連中が幅を利かせています。
これをなんとかしなければ、私たち日本国民の多くがレントシーカーたちの奴隷になってしまいます。