四半期ごとに垂れ流される嘘

四半期ごとに垂れ流される嘘

一昨日(5月10日)、財務省から『国債及び借入金並びに政府保証債務現在高』が公表されました。

この『国債及び借入金並びに政府保証債務現在高』は、まことに鬱陶しくも四半期ごとに公表されています。

財務省がこれを公表する趣旨は「政府の資金調達の全体像を示すため」とされていますが、私に言わせるとそれは建前で、その本音は「これだけ日本は借金で大変なんですよぅ」という国民世論を形成することにあるものと推察されます。

例えば、公表後のメディアの報道は次のとおりです。

『国の長期債務、初の1000兆円超え 21年度末
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA105OW0Q2A510C2000000/
財務省は10日、税収で返済しなければいけない国の長期債務残高が3月末時点で1017兆1072億円になったと発表した。18年連続で増え、初めて1千兆円を超えた。新型コロナウイルス感染症の対策の財源を確保するため国債発行を増やしたことが響いた。「賢い支出」で成長力を底上げしないと経済が停滞し、税収が増えないまま債務が膨らむ懸念がある。(後略)』

要するに「コロナ禍で出費(国債発行)が増えたから、それを国民が税金で返済するのは大変ですよ…」と云うレトリックです。

しかしながら歴然たる事実として、自国建て通貨で国債を発行し、変動相場制を採用している日本政府に「財政破綻」など絶対にあり得ません。

なにかの政治的理由で意図的にわざとデフォルトしないかぎりあり得ないのでございます。

上記記事を書いているのは例によって「日本経済新聞」です。

まず、この記事で明らかなる嘘は「税金で返済しなければいけない…」の部分です。

財務省が長期債務残高について「税金で返済しなければいけない」と説明し、それを各メディアが記事にしているのか、それとも日本経済新聞社が勝手に記事にしているのかは確認していないので判りません。

ただ、昨日のテレビニュースでも日本経済新聞と同じ内容で報道されていましたので、おそらく公表の際に財務省がそのように説明した可能性が高い。

もしそうだとすると、財務省は公的機関として明確な「嘘」をついたことになります。

国債は常に借り換えされており、税金で償還などしていません。

日本経済新聞は上記記事の中で「(国債残高が)20年間で倍増した!」と煽っていますが、冒頭のグラフのとおり、現在の政府の長期債務残高は明治4年以降、既に3970万倍以上にも増え、物価変動分を除いた実質値でも560倍以上に増えています。

過去、日本政府の長期債務残高は一貫して膨らみ続けてきましたが、それでも破綻(デフォルト)などしていません。

その理由は、いたってシンプルです。

即ち、国債は返済する必要が無い「借金」だからです。

いつも言うように、政府の債務残高とは「貨幣の発行残高」に過ぎないのでございます。

あるいは「貨幣の発行履歴」と言ってもいい。

例えば『国債及び借入金並びに政府保証債務現在高』をみると、昨年度末の国債発行残高は財投債を除くと991.4兆円となっています。

つまり991.4兆円分の「銀行預金」という貨幣が国民(企業と家計)に対して供給されていることがわかります。

そのように言われてもピンとこないかもしれませんが、2020年の特別定額給付金を思い出してほしい。

あのとき政府が12兆円以上の国債を発行したことで、その結果として国民の銀行預金(口座残高)が一人10万円増えたではありませんか。

政府が国債を発行するからこそ、国民の資産は増えるのです。

それとは逆に、もしも政府が増税した場合、あるいは政府が国債を税金で返済した場合、その金額分、国民の銀行預金が消えることになります。

このことは、まごうことなき事実です。

国民の皆様、財務省が四半期ごとにメディアを通じて垂れ流す「嘘」に決して騙されないようご注意ください。