国内で生産活動をしている全ての就業者の所得を合計したものをGDP(国内総生産)といいます。
これを金額ベースで表したものが名目GDP、数量ベース(生産されたモノやサービスの個数)で表したものが実質GDPです。
さて、上のグラフのとおり名目GDPの推移をみますと、2019年10月の消費税増税(8%→10%)で5兆円の国民所得が奪われていることがわかります。
その後、コロナ・パンデミックが発生したことで更に総需要が減退し、2020年の第2四半期(Q2)は消費税増税分を含めて50兆円の所得が喪失しました。
即ち、国民は50兆円の赤字化、政府は50兆円の黒字化となったわけです。
50兆円分の貨幣(アクティブ・マネー)が減ったことで、さらにデフレ化しています。
コストプッシュ・インフレでエネルギーや食料関係の物価は上昇していますが、コアコアCPI(エネルギーと生鮮食品を除いた消費者物価指数)はマイナス化しています。
消費税増税とコロナ禍により50兆円の所得を失った国民経済を救済するため、政府は何をすべきか。
むろん、通貨発行によって財政支出を拡大することです。
短期的には給付金などの所得移転系の歳出のほか、中長期では感染症対策、食料対策、安全保障の強化、インフラ投資等々の投資を拡大すべきです。
投資対象は山積しているにもかかわらず、岸田総理は財政支出の拡大を躊躇しています。
因みに、我が国では全国民を対象にした定額給付金はこの2年間でたったの10万円でしたが、海外をみますと、米国はコロナ以降の2年間で国民一人あたり約200万円を給付していますし、英国や仏国では所得の7〜8割を補償するなどの手厚い財政支援をしています。
持続化給付金等の営業補償はあるものの、それでも米、英、仏の補償に比べるとショボすぎます。
しかも消費税の税率はそのままであり、ガソリン価格が3ヶ月連続で160円を超えているにもかかわらずトリガー条項の凍結を解除しようともしない。
石油のみならず、ウクライナ危機もあって小麦をはじめとする食料価格が高騰しているのに対策はゼロ。
総理の口からは「検討します…」ばかり。
日毎、ストレスが溜まる一方です。