いま我が国では、輸入物価の上昇にともなって卸売物価が上昇しています。
即ち、コストプッシュインフレです。
物価が上昇しても、それで生産者(モノやサービスを生産し供給する人)の所得が増えていくのであれば、実質賃金は上昇し経済は成長していきます。
しかしながら、輸入物価の上昇にともなう値上げでは、値上がりした分の所得は輸入先の生産者の所得になるため、日本の生産者の所得は増えません。
日本の生産者の所得が増えないままに物価が上昇していく以上、コストプッシュインフレは完全にデフレ圧力になるわけです。
一方、輸入物価などの海外要因とは関係なく、国内で生産されたモノやサービスの購入が増える形での値上がりであれば、今度は国内生産者の所得が増えていきますので「デフレ脱却圧力」に変わります。
さてもう一つ、海外要因とは無関係に、モノやサービスの価格が上昇したのに国内生産者の所得が増えないケースがあります。
はて、どんなケースか?
それは、消費税増税です。
消費税の税率が引き上げられると、消費者が店頭で購入するモノやサービスの価格は増税分だけ値上がりします。
むろん、それにより生産者の所得が増えるわけではありません。
モノやサービスを生産し供給した事業者には、容赦なく消費税が課せられます。
具体的には事業者の粗利(売上原価ー原価)に税率10%の消費税が課せられ、要するに今度は海外ではなく日本政府が生産者の所得を奪っていくわけです。
日本政府は事業者から奪った所得で何をするのか?
驚くなかれ、なんと国債の償還です。
実に馬鹿げた話で、消費税が医療や介護などの福祉に使われているというのは嘘です。
上のグラフをみるとお解りのとおり、各国に比べて我が国のインフレ率は長きにわたり低水準で推移しています。
とりわけ、2014年と2019年をご覧頂きたいのですが、それまでせっかくインフレ率が上昇しはじめていたのに、翌年には腰折れして降下しています。
ご承知のとおり、2014年4月には5%→8%へ、2019年10月には10月には8%→10%へと消費税の税率を引き上げています。
我が国の政治は度重なる消費税増税(税率の引き上げ)によって、せっかく上向きかけていた景気に水を差してきたのでございます。
このように消費税は、輸入物価上昇によるコストプッシュインフレと同じメカニズムで国内事業者から所得を奪い我が国の経済を破壊しているのです。
即ち、消費税とコストプッシュインフレのダブルパンチが日本経済に襲いかかっていると言っていい。