生鮮食品とエネルギーを除いた総合消費者物価指数を「コアコアCPI」といいます。
エネルギーを海外に依存している日本の場合、ガチで国内の物価変動を見極めるには、このコアコアCPIをみるのが最も相応しいと考えます。
因みに、なぜか日銀はエネルギー価格を含めた「コアCPI」で2%の物価目標を設定しています。
今回のようにエネルギー価格が高騰してしまうと、たとえ国内経済がデフレでもコアCPIは上昇してしまいます。
海外要因によりコアCPIが2%を達成したからといって「はい、デフレを克服しました」とは、むろんならない。
さて、上のグラフのとおり、コアコアCPIは1998年をピークに緩やかに下降をはじめましたが、労働者の平均給与はそれよりも1年早く1997年から下降がはじまっています。
その後、平均給与は対1995年比で2001年からマイナスに転じていますが、コアコアCPIがマイナスに転じるのは2004年からです。
即ち、給与のほうが早く減りはじめているのがわかります。
バブル経済が崩壊した1991年以降、日本企業は傷ついたバランスシートを修復すべく設備投資を抑制しつつ借金返済に励んでいました。
企業が投資を抑制し借金返済に勤しむことで、つまり企業支出が抑制されることでその分のGDPが不足します。
それでも当時は日本政府が財政支出を拡大していたので、バブル崩壊以降もなんとか日本経済は下支えされていたのです。
ところが、1997年4月、なんと橋本内閣は消費税の税率を5%に引き上げ、緊縮財政(財政支出を引き締め)をはじめてしまったのです。
バブル崩壊と政府財政の引き締めは経済に何をもたらすのか…
むろん、デフレです。
デフレの何が恐ろしいのかというと、物価の下落以上に実質賃金の下落スピードが早いことであり、逆に実質賃金が上昇しても物価上昇スピードに追いつかないことです。
上のグラフはそのことを証明しています。
実質賃金が減少していくわけですから、人々が消費を拡大していけるわけなどありません。
それだけではない。
デフレが継続すると、需要を見込めない企業は設備投資や技術開発投資を減らし、なかには閉業・廃業にまで追い込まれる事業者も増え雇用を悪化させます。
要するにはデフレ経済とは「消費」と「投資」の両方を減退させてしまうのでございます。
消費の低迷は今を生きる日本国民の貧困化であり、投資の低迷は将来を生きる日本国民の貧困化です。
こうしてデフレを放置していることこそが、将来世代への大きなツケなのです。
政府支出の縮小によって招いたデフレです。
ゆえに政府支出の拡大によってデフレを克服するべきだと思うのですが、為政者たちが正しい貨幣観をもっていないがゆえにそれができない。
悲しいかなデフレ突入以来、すでに25年目を迎えています。
かつては「失われた10年…」などと揶揄されていましたが、このままでは「失われた30年…」が現実となります。