日銀は、市中銀行が日銀にもつ「当座預金」の一部に0.1%の金利をつけています。
本来、日銀当座預金に金利はつかないのですが、量的緩和の折、金利をつけないと市中銀行が国債を売ってくれないので緊急的措置としてつけています。
実に異例のことです。
それをもって「やがて日銀は、この金利を負担しきれず債務超過になるぅ~」と主張するエコノミストがいます。
「・・・」
あまりに稚拙な指摘で、まじめに反論する気も失せますが、本当にエコノミストなのか疑いたくなります。
とりあえず、日銀が市中銀行の「当座預金」の一部に金利をつけているのは事実ですが、同時に「当座預金」の一部(過剰準備)にマイナス金利をつけていることも付しておきます。
そのうえで、以下申し上げます。
日銀の昨年度の財務諸表をみますと、日銀が市中銀行に支払っている当座預金の金利額は、2180億円弱です。
一方、日銀の純資産(自己資本)は、約4.5兆円です。
もしも「債務超過論」を振りかざすのであれば、金利(2180億円)が膨れ上がってやがて自己資本(4.5兆円)を食いつぶしていく道筋というものをぜひ示すべきだと思います。
どうせ示せないでしょうけど…
百歩譲って、日銀が債務超過に陥ったとしましょう。
それでも、日銀の親会社である日本政府が通貨を発行して資本注入すればいいだけの話です。
むろんそのとき、通貨を発行した分だけ政府の純負債が増えることになりますが、それで何か問題でもあるのでしょうか。
政府部門の純負債は、民間部門の純資産を意味しています。
何度でも言います。
誰かの赤字は必ず誰かの黒字であり、誰かの負債は必ず誰かの資産なのでございます。