デフレ経済は国民間、企業間の格差を拡大していきます。
なぜならデフレ経済とは貨幣価値が上昇していく経済現象ですので、所得の多い人、金融資産の多い人にとっての経済活動は比較優位となり、逆に少ない人には不利になっていきます。
一般的に低所得者のほうが高所得者よりも消費性向が高い。
即ち、所得に占める消費の割合が高いわけです。
このため、一部の富裕層のみが社会全体の所得を独占しているような格差社会では、消費需要は相対的に小さくなります。
消費需要の少なさが、さらにデフレを増長し格差を拡大していく。
それに、低所得者はその所得を教育に充てられないため、低所得者の割合の高い格差社会では国民の能力を高めるための教育投資が不十分となり、結果として長期的な経済成長を困難にします。
中間所得層の分厚い社会のほうが経済を成長させる理由もそこにあります。
我が国は20年以上にわたるデフレ経済と構造改革によって、高度経済成長期につくりあげた分厚い中間所得層を破壊してしまったのです。
さて、デフレ経済下においてもっとも課してはいけない税金が消費税です。
消費税には所得格差や景気循環を調整するメカニズムが備わっておらず、その意味でむしろ格差増長型税制と言ってもいい。
ゆえに消費税などは即時に撤廃されるべき悪税なのですが、残念ながら撤廃されるどころか減税すらされず、あまつさえ来年10月からはインボイス制度が導入されます。
意外にも、未だ「インボイス制度」を知らない個人事業主(免税業者)が多い。
売上1000万円以下の個人事業主は、これまで消費税の課税免除を受けてきましたが、インボイス制度が導入される来年の10月以降は変わります。
売上1000万円以下の個人事業主が選べる選択肢は2つ。
一つ目はインボイス制度を受け入れて消費税を納めるか、二つ目は制度を受け入れずそのまま免税業者として営んでいくか、です。
ただし、後者を選択した場合(ひきつづき免税業者としてやっていく場合)、取引先から取引を打ち切られる可能性があります。
なぜなら、免税業者が発行した領収書は取引先の課税仕入れの対象とされず、つまり取引先は仕入税額控除が受けられなくなるからです。
インボイス制度の基では、国税庁の言う「適格請求書(インボイス)」を発行できるのは「適格請求書発行事業者」に限られ、この「適格請求書発行事業者」になるためには来年3月までに登録申請書を提出して登録を受ける必要があります。
取引先から切られるリスクがあるのでは、結果として多くの対象事業者がインボイス制度を受け入れざるを得ないでしょう。
財務省という役所は実に恐ろしい。
緊縮財政(PB黒字化)のために、今度は売上1000万円以下の免税業者にまで消費税を課税しようとしているわけです。
インボイス制度の影響を受ける免税業者は500万以上いるとされています。
来年10月以降は、このうち161万が課税業者になると財務省は試算しています。
因みに、そこから得られる税収はたったの2480億円とのこと。
変動相場制を維持できる国内供給能力を有し、自国通貨建てで国債を発行できる我が日本国に深刻な財政問題など存在していません。
インボイス制度が導入されれば、我が国の所得格差は益々拡大していきます。
ぜひ夏の参議院選挙の争点とし、阻止すべき制度です。
因みに川崎市議会でインボイス制度(消費税)の問題点を明確に理解した上で反対をしているのは、私と共産党さんだけです。