ロシアによるウクライナ侵攻から1ヶ月が過ぎましたが、停戦にむけた協議は思うように進んでいないようで長期化の様相を呈してきました。
NATO諸国は「ロシアの侵攻を押し返しつつ、ロシアとの戦争をいかに回避するか」というジレンマに陥っています。
米国などNATO諸国はウクライナを支援するためにあらゆる手を尽くしたいと考えているものの、あくまでも軍事力の行使については例外としています
核大国ロシアと軍事的に衝突するリスクを回避しながら、どうにかして停戦に持ち込みたいと願っているようですが、今のところ出口は見えていません。
もしも経済制裁などを含め抑止力を倍加させる戦略を採れば、追い込まれたプーチンが戦術核やBC兵器を使用するなどエスカレーション策を採りかねない。
実に難しい局面です。
一部報道によれば、プーチン大統領は軍事計画を親しいアドバイザーにさえぎりぎりの段階まで話さないらしい。
なかには「彼は妄想化している」という報道さえあります。
情報の信憑性ははかりかねますが、プーチン大統領は自分の意図を悟られぬようにすることに執着しすぎて、侵攻の手段、規模、タイミング、を軍と国家安全保障会議の高官たちにさえ知らせていなかったという。
思い通りに進まぬ侵攻作戦を前に、いらだち紛れにさらなるエスカレーション策を採ってしまう恐れもあります。
さて、ロシアと中国は、西側諸国の経済制裁のしばりから逃れようと、国際通貨としての米ドルの地位を脅かす代替的な金融制度や構造の構築を試みているようです。
例えば、ロシアの主要エネルギー企業はすでに米ドルの使用を中止しており、中ロ貿易の主要な決済通貨としては既にユーロがドルに取って代わっています。
プーチン大統領はドルを迂回する手段として国が支援する暗号通貨を立ち上げる準備も進めているようですが果たしてどうか。
日本政府としても経済制裁がウクライナにおける戦争にどういう影響を与えるかだけでなく、国際金融システムにどういう変化をもたらすかを考慮に入れなければならないでしょう。
いつの時代でも、戦争や戦争形態の変化、あるいは地政学上の変化が経済システムや経済政策や経済理論に大きな変化を齎しますので。
岸田総理は「新しい資本主義」と言っていますが、総理がなんと言おうが黙っていようが資本主義は常に変異するものなのです。