北朝鮮のミサイル発射は中国への援護射撃 ⁉

北朝鮮のミサイル発射は中国への援護射撃 ⁉

今年に入って北朝鮮は、これまで以上にミサイル発射を活発化させています。

今や多くの日本国民が北朝鮮のミサイル脅威に慣れきってしまったようで、「そんなことよりウクライナがぁ~」と言っていますが、このタイミングでの北朝鮮の軍事行動を深刻な事態として注視すべきです。

タイミングというのは、まさにウクライナ情勢と台湾危機です。

国際社会の目がウクライナに向けられ、その間隙をついて中国が台湾に侵攻する可能性も高まっているというタイミングで、どうみても北朝鮮は意図的にミサイル発射を繰り返し、朝鮮有事をちらつかせています。

当然、これによって優位性を手にするのは中国です。

米国を中心とした東アジアの同盟システムは、朝鮮半島の危機に乗じて中国が台湾に侵攻することを警戒しなければなりませんが、その逆はあり得ません。

第二次朝鮮戦争が勃発しても、米国が台湾をめぐって戦争をはじめることを中国が心配する必要はないからです。

それに、朝鮮有事が勃発した場合、中国が北朝鮮に援軍するのは主に陸上部隊であり、空軍力と海軍力は温存され台湾有事に集中することができます。

対する米国は、もしも朝鮮有事が勃発すれば、第7艦隊に加え2万8000の在韓米軍の兵力、F16戦闘機40機、航空機90機、攻撃用ヘリ40機などが朝鮮半島有事に割かれ台湾有事では使えない。

さらに在日米軍の戦力も朝鮮有事に振り向けられ、自衛隊による支援も台湾有事よりも朝鮮有事に回されることでしょう。

要するに、もしも朝鮮有事が同時に勃発すると、米軍の台湾有事での作戦遂行能力が大幅に低下するわけです。

これを最も喜ぶのは習近平の北京であり、最大の功労者は金正恩の平壌ということになります。

よって北京は台湾侵攻のために、北朝鮮がつくり出す新たなミサイル脅威を最大限に利用するにちがいない。

しかも、ことしの1月5日と1月11日に発射された北朝鮮のミサイルは極超音速滑空体でした。

このミサイルは、低空飛行でレーダー探知を回避することができ、最終段階での迎撃回避可能な機動性をも有しています。

そして1月14日の発射実験では走行中の列車からミサイルを発射することに成功しているわけですが、これら一連の発射実験で示された能力を甘く見てはいけない。

なぜなら北朝鮮が持つことになったこれらの能力により、米軍が配備しているTHAAD(終末高高度防衛ミサイルシステム)、あるいはイージス弾道ミサイル防衛システムなどのミサイル防衛能力が無力化された可能性があるからです。

因みに、これら米軍が配備しているミサイル防衛システムは、日本及び韓国(特に韓国)を守るために設計されたものです。

我々は現実を直視しなければならない。

2000年ごろの米中の防衛費格差は、中国が1であったのに対して米国が10というように格段の違いがありました。

しかし現在は1対3にまで差が縮められています。

といって「まだ3倍も米国のほうが多い…」とは言えません。

米国は世界中に戦力を展開しなければなりませんが、中国は自分の庭先である台湾海峡にだけ兵力を集中すればいい。

その意味でもはや戦力差はほぼ均衡している、もしくは既に米国が劣勢にあると言っても過言ではなく、そこへ朝鮮有事が発生し、米軍とその同盟国の兵力が分散させられるようなことがあれば、両有事において我が日本国はもちろん、米国を中心とした東アジアの同盟システムは悉く劣勢に立つことになります。

昨日のブログでも申し上げましたとおり、台湾を中国に獲られれば、尖閣はもちろん与那国島も危うく、沖縄すら守りきれるかどうか。

台湾海峡でも負け、朝鮮半島でも負けるようなことがあれば、我が日本国が中華人民共和国に呑み込まれ倭人自治区となる日がまたさらに近づきます。

ロシアのウクライナ侵攻に対する「非難決議」よりも、私たち日本国民に直結する安全保障上の危機に対し地方議会としての声を上げていくべきではないでしょうか。