ロシアによるウクライナへの侵攻がはじまり数日を経ましたが、必ずしもプーチン大統領の思惑どおりに事は進んでいないようです。
とはいえ、ウクライナの防空能力の脆弱性も際立っています。
ゆえにポーランドがミグやスホーイなどの戦闘機をウクライナに貸与するらしい。
そうすると今度はポーランドの防空能力が脆弱化するために、そこをNATOがカバーするようです。
推察するにロシア側は、ウクライナの脆弱な防空能力の弱点をつき、非対称兵器を活かしつつ補給線を確保するために特定地域から攻略し、軍事的優位性を保ちながら有利な条件を外交的に引き出そうとしているようです。
ところが、それが上手くいっていないのでしょう。
それでもロシアにとってウクライナは地政学的な「核心的利益」である以上、プーチン大統領はそう簡単に手を引かないはずです。
歴史をみますと、ロシアは何度か欧米からの侵略を受けてきました。
1917年から1922年までの内戦期には米国を含む反ボリシェビキ国家連合に干渉されていますし、ドイツには二度にわたって侵略され、第二次世界大戦では約2600万人の民衆が犠牲になっています。
このような歴史を踏まえて、プーチン大統領はNATO圏の境界がロシア国境に近づいていることを懸念しているのかもしれません。
むろん、ロシアが侵略を仕掛けた歴史もまた豊富ですが…
さて、多くの日本国民はウクライナ情勢に目を奪われていますが、次は中国による台湾侵攻を現実のものとして考え、準備対処しなければなりません。
まずは、台湾に中国(人民解放軍)が駐留することを想像してほしい。
日本の最先端である与那国島からわずか110キロしか離れていないところに中国が軍事プレゼンスをもつことになるわけです。
その場合、我が国が与那国島や尖閣諸島を防衛するのは非常に難しい。
というか、沖縄すら危うい。
ご承知のとおり、日本の海洋貿易の40%は南シナ海のシーレーン(海上交通路)を経由しています。
台湾が占領されれば、南シナ海の人工島に無数の軍事施設をもつ中国は、日本へ向かう船舶に遠回りのルートしか使えないように仕向け、日本経済にダメージを与えることも可能となります。
それだけではありません。
現在は台湾が実効支配しているフィリピン海と南シナ海が接する海域に位置する東沙諸島をも中国が管理下におけば、日本の複数の港へつながる海洋ルートが抑えられてしまうわけです。
このようにウクライナ問題以上に台湾問題は日本人にとって死活問題なのでございます。
一方、米国にとっても台湾はインド太平洋戦略上の重要地域です。
ゆえに、中国が台湾を侵攻すれば、間違いなく米国は軍事介入します。
ですが、いまや当該地域の局地戦に限って言えば、米中の戦力に大きな差はありませんので、あまり大きな期待はできないかもしれません。
2016年には安保法制が整備されましたが、米軍への後方支援であれ、集団的自衛権の行使であれ、個別的自衛権の行使であれ、我が国の主体性が求められています。
自分の国は自分で守るのが大原則です。
まずは、そのための意志と能力を持たなければならない。
街頭で「戦争反対!」と叫び、議会で「非難決議」を採択すれば解決する話ではありません。