去る2月25日、米国の格付け会社『S&Pグローバル』が、ロシアの長期債務格付け(外貨建て)を「トリプルBマイナス」から「ダブルBプラス」に引き下げました。
S&Pグローバルによれば、ロシアに対する欧米諸国の経済制裁が、国際金融市場及びロシア経済に重大な影響を与える可能性があるとしています。
他の格付け会社もまた同様に、ロシアの格付けを引き下げるようです。
それはさておき、S&Pグローバルによる日本国債の格付けは「A+」です。
つまり、米国(AA+)、英国(AA)、フランス(AA)よりも格下にランキングされています。
一昔前はアフリカのボツワナと同等の格付けをされていましたので、それに比べれば随分と出世したものです。
とはいえ、結論から言えば、この種の格付けなど無視していい。
なぜなら彼ら格付会社は、その国の国債が自国通貨建てなのかそうでないのか一切無視し、すべて外貨建て(ドル建て)として換算し評価(格付け)しています。
なのであまり意味のない格付けなのです。
フランスはご承知のとおりユーロ加盟国です。
国債を発行する際には、共通通貨ユーロ建てで発行しなければなりません。
なので、同じユーロ圏の中で、フランス国債の格付けが比較されるのであれば理解します。
ユーロ建て国債のフランスと、円建て国債の日本とをわざわざドル建てで換算して比較することに何の意味があるのでしょうか。
フランスの場合は、国債の償還や利払いの際、もしも手持ちユーロがなければその時点でOUT(債務不履行)です。
フランスの中央銀行にユーロを発行する権限はありませんので。
一方、我が国は日銀が円を発行できますので、国内の供給能力(インフレ率)が許す限りにおいて、円の発行に上限はありません。
ゆえに、日本政府がデフォルトすることはあり得ません。
そうした現実を一切無視しているのが「格付け」です。
重要なのは、その国の国民経済(GDP)が安定したインフレ率のもとで成長しているのかどうかです。
その点、国際的に比較すると我が日本国の格付けは低い。
冒頭のグラフをみれば明らかなように、成長している国は政府部門が相応のカネを支出しています。
なにより新自由主義に基づく「緊縮財政」至上主義が日本の国民経済を貧困化させている事実は、再三にわたり当該ブログで指摘させて頂いているところです。