きのうのブログに引き続き、本日も病床問題について述べます。
病床は、一般病床と療養病床に分類されています。
一般病床は、救急を要する患者を対象とする病床で、入院期間が概ね三カ月までと決められており診療報酬が高い。
療養病床は、症状は安定しているものの、長期の療養を要する患者を対象とする病床で、入院期間は定められておらず、一般病床と比べると診療報酬が安い。
概ね一般病床の稼働率は低く、療養病床の稼働率が高い傾向にあります。
川崎市では前者は70%程度で、後者は95%以上です。
両者を比較してみると、一般病床のほうが診療報酬が高いので、療養病床を持ちたがる病院が少ない傾向にあります。
そのため、全国的に療養病床が不足しています。
とりわけ、首都圏の療養病床にいたっては、ほぼフル稼働の状態です。
療養病床がひっ迫すると、地域医療に多大な影響を及ぼします。
例えば、ある高齢者が階段で転んで骨折して入院したとします。
まずは一般病床に入院しながら治療を受け、ある程度回復すると療養病床に移されます。
しかし療養病床に空きがなければ一般病床にとどめておく必要が出てきます。
一般病床の診療報酬の特徴として、最初の一カ月が高く、それを過ぎると徐々に安くなっていきます。
そのため、一般病床を経営する病院は、新規患者を受け入れなければ経営が立ち行かなくなってしまうのです。
つまり療養病床に空きがなければ、安い診療報酬で療養病床待ちの患者を一般病床で入院させなければならず、その間の入院患者は〝不良債権〟のような目で見られてしまうことになります。
ちなみに、川崎市(川崎北部医療圏)の療養病床の自己完結率は約50%を切っています。
これは川崎市の一般病床に入院していた患者の2人に1人は、川崎市以外の療養病床を探さなければならない状態を意味しています。
例えば病院からは県内の遠方地域や八王子市など、最悪の場合は山梨県の病院を紹介された、というケースもあります。
要するに療養病床がひっ迫すると、不良債権化した患者が一般病床に溢れることになります。
これが常態化すると、救急車で運ばれてくる患者が病院にとって不良債権化しないかどうかなど〝値踏み〟するケースが増えてくることになります。
現に、寝たきりになることが予想される高齢者の多くが、救急受け入れのたらい回しにあっています。
つい数年前まで川崎市では、現場に到着した救急車が受け入れ病院をさがすのに手間取り、患者を載せたまま現場に滞在してしまうケースの割合が増えてしまいました。
そして全国の政令市のなかで最悪な状態となっていました。
これは療養病床の不足している医療圏に共通する問題です。
繰り返しますが「病床は公共財!」という法的拘束力ができれば、政府や地方自治体の権限で、それらの病床で患者を受け入れるように命じることができます。
この法改正は直ちに行われるべきです。