最近、日本国内には、韓国に対する過度な配慮を止めたほうがいい、という世論が高まりつつあるように思います。
残念ながら相手方には「今まで特別な扱いを受けていた」という認識すらないようですが、騒ぎ立てれば必ず日本側が譲歩してくれる、という風潮は安倍内閣以降とくに弱まったのは周知のとおりです。
そんなこともあって、最近は振り上げた拳の下ろしどころに困ることが多くなっているらしい。
といって、条件反射で「反日」を唱えしまう国民的習性はなかなか抜けないようで、ここ数年は日本の食品の安全問題を騒ぎ立てています。
仄聞するところによると、2011年3月に発生した東日本大震災と福島第一原発の事故は彼の国にとってはある種のチャンスだったという考え方があるようです。
なにせ遠慮なく日本をぶっ叩けるネタが転がり込んできたわけですから。
以来、「日本産の食べ物はとにかく危険だぁ」とか、「とても食べられたものじゃない…」とか言って喧伝するのに必死です。
地震発生後、お悔やみの気持ちの表明もそこそこに、すぐに日本から輸入禁止の措置をとったわけです。
ただ、原発事故発生当初については、安全策をとってとりあえずの輸入停止は当然のことかもしれません。
しかし、彼の国の特殊なところは日本との関係が悪くなるたびにそれと連動して食品輸入を厳しくしていったことです。
例えば2019年8月21日、文在寅大統領が仕掛けた日本製品不買運動が盛り上がりはじめたころに、韓国の『食品医薬品安全処』は日本の食品の安全検査件数を2倍にすることを発表しました。
韓国は日本の福島付近の8県からの食品輸入を今でも禁止しています。
それ以外の県のものであっても、毎回の輸入ごとに検査を行っているのだとか。
もしもセシウムとヨウ素の数値に引っかかったら、追加で17種類の物質の検査証明書の提出が求められます。
そして、これまでは同じ品目では毎日1キロあたり1件だったものを、過去に引っかかったことがある品目については検査が2倍の回数に増やされることになりました。
検査強化の対象になったものの内訳は、お茶や濃縮飲料、インスタントコーヒーなどの加工食品が10品目、ショウズクやコーヒーといった農産物が3品目、麺類の添加物などが2品目、そしてビルベリー抽出物といった健康機能食品が2品目の合計17品目です。
ショウズクとは聞き慣れない作物ですが、主にインドで栽培されているハーブのことです。
ショウズクの種が『カルダモン』なのだとか。
ビルベリーも同様に北ヨーロッパでわずかに栽培されているだけのブルーベリーの近縁種だといいます。
こうした作物が日本でも栽培されているのですから驚きですね。
韓国政府が検査強化を大々的に発表したわりには、ご覧のとおりそのターゲットはかなりマイナーなもので、威勢よく日本にタンカを切ったものの、その実はあまり大ごとにしたくないという本音が見え隠れしています。
彼らも日本が折れないのは解っているのでしょう。
しかし文在寅政権にとって、ここで日本に弱気なところを見せてしまえば、今度は韓国国民から弱腰の姿勢をなじられることになります。
考えてみれば誰の得にもならない、いわば「セルフ経済制裁」ですが、近年、こうした事例が増えています。
それに、いくら韓国だけが輸入を絞ったところで、日本の輸出者への影響は極めて限定的かと思われます。
逆に、これらの品目を輸入する韓国の業者の手間が増えますので「困るのは韓国のほうだ…」と指摘されているところです。
因みに韓国は製造業と同様に、農水産物においてもまた日本国に依存しています。
不買運動や輸入制限というのは、自分たちのシェアが圧倒的であれば有効となりますが、しかし残念ながら韓国の市場としての存在感は我が国にとってそれほどの大きさではありません。
よって今回の検査強化は、ただ単純に韓国側の利便性を損なっただけだ、というのが識者の見立てです。