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議会報告 01 川崎市政

貨幣と経済を理解できない民間議員(後編)2019/10/31    

あす、ラジオ番組に出演します。

さて、洋の東西を問わず、政治の世界では「再編」及び「構造改革」という言葉が使われた場合、たいていは「削減」を意味します。

例えば、東西冷戦構造が終わり、ソ連との軍拡競争に一定のケリをつけた米国も、「米軍再編」あるいは「米軍のトランスフォーメーション(構造改革)」の名の下に、要するに「軍縮」を行いました。

おそらくは、軍関係者や軍需産業など「軍縮」に反対する人々に対する政治的な配慮もあって、このような表現が使われているのだと思います。

このことは、その対象が「軍事」であろうと「医療」であろうと変わらない。

現在、我が国においても「病床再編」の名の下に「病床削減」が行われようとしています。

「削減」と、ストレートに言ってしまうと、各方面へのハレーション(悪影響)が大きいことから「再編」と言葉をすり替え、のらりくらりと誤魔化すわけです。

ところが今回の場合、安倍総理は既に「削減する」ことを堂々と公言されているから驚きです。

『安倍首相 病院再編と過剰なベッド数の削減など指示
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191028/k10012153731000.html
高齢化を踏まえた将来の医療体制をめぐり、安倍総理大臣は、経済財政諮問会議で、持続可能な地域医療体制を構築するため、都道府県ごとに策定された構想に基づいて、病院の再編とともに、過剰なベッド数の削減などを進めるよう関係閣僚に指示しました。(後略)』

政府が病床を減らしたい理由は唯一つ、2025年にプライマリーバランスを黒字化するためです。

プライマリーバランスとは、税収のみをもって公債費支出を除くすべての歳出を賄うという考え方です。

なんと馬鹿げたことか…

病床が削減されることによる直接の被害者は、むろん医療の供給能力を削られる国民です。

要するに政府としては「国民を守る医療なんかよりも政府の財布の中身の方が大事だ…」ということなのです。

下のグラフのとおり、医療費は確かに増え続けてきました。

これを見ると「このままでは医療財政が行き詰まるんじゃないの?」と思う人もおられましょう。

これが家計簿ならそのとおりです。

旦那さんの収入が限られてい場合、家族の医療費が年々拡大しつづければ家計簿を圧迫することになります。

しかしながら、行財政(国民経済)は全く違います。

経済は需要と供給によって成り立っています。

医療であろうが、介護であろうが、教育であろうが、公共工事であろうが、国民の求める需要に対し、きちんと自国のリソース(ヒト、モノ、技術)で供給することができれば、それらはすべてGDP(国民の所得の合計)になります。

例えば、この20年間、我が国は総需要が不足するデフレ経済ですが、こうしたなか、かろうじて需要を下支えしてくれたのが上のグラフの国民医療費なのです。

もし、この需要増(国民医療費の増)がなかったら、我が国のデフレ化はもっともっと深刻なものになっていたことでしょう。

このことが、総理にも財政諮問会議の民間議員たちにも理解できないらしい。

何より、我が国の「円」は、変動相場制を採用した主権通貨です。

主権通貨である以上、医療であろうが介護であろうが、増える続ける需要を必ず充たすことのできる供給能力さえあれば、円(主権通貨)の発行量に上限はありません。

政府が進めようとしている「病床削減」は、まさに医療の供給能力を毀損するものであり、国民の医療需要を充たすことを困難にさせるものです。

やがて日本は「手元におカネはあるんだけど、医療サービスを供給してくれる人材も施設も技術もない」という発展途上国になってしまうということになってしまいます。

そうならないためには、むろん病床を減らすことなく、今こそ医療の供給能力を拡大させるための官民あげた「投資」が不可欠なのです。

厚労省から「役割や機能が他の病院と類似かつ近接している」とダメ出しされた市立井田病院ですが、当該病院は地域ケアシステムの中核的な役割を担っています。

そうしたことを無視して、机上の削減論理のみで病院機能が見直されることの危険と愚かさを経済財政諮問会議のメンバーは知ってほしい。