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議会報告 02 政治・経済

財政破綻という幻想2019/09/23    

三菱UFJフィナンシャル・グループのシンクタンクである三菱UFJリサーチ&コンサルティングが、Webサイトで「統合政府という幻想」というレポートを掲載しています。
https://www.murc.jp/report/rc/column/igarashi/igarashi170703/

読んでみますと、次のようなくだりがあります。

「政府が借金して歳出を行うと、その分は必ず債務超過(民間部門に対する負債)になるということだ。借金の証文である国債をいくら日銀に買ってもらったとしても、債務超過は1円たりとも減りはしないのだ」

何を言っているのか解説しますと…

日本政府が発行した国債を日銀が購入すると、日銀のバランスシートの貸方(負債の部)に新たな日銀当座預金が発行されます。

だから…「日銀当座預金は民間銀行の資産かもしれないけれど、日銀にとってみれば民間銀行に対する負債なのだから、その分は債務超過になるではないか」よって「統合政府という考え方では日本の財政問題は解決しないのだ」と言いたいらしい。

天下の三菱UFJのシンクタンクでさえも、この程度の認識しか持ち合わせていないことを知り実に驚きました。

さっそく統合政府(政府+日銀)のバランスシートを作ってみました。

バランスシート貸方(右側=負債側)に「政府の国債・財投債 908兆円」があります。

このうち466兆円は既に日本銀行が保有していますので、借方(左側=資産側)に「日銀の国債・財投債 466兆円」として計上されます。

即ち、466兆円の政府債務は日銀資産として相殺されることになります。

よって、この466兆円について、日本政府はカネ(借金)を返す必要はありません。

また「政府の純負債 739兆円」から「日銀の純資産 28兆円」が差し引かれます。

なお、日銀の国債買取は日銀当座預金の発行のみで可能であり、既に市中銀
行が現金化したものが115兆円になっていることがわかります。

さて、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが問題視しているのは、貸方(右側=負債側)にある「日銀当座預金 405兆円」です。

要するに、日銀が国債を買い取ったって、405兆円の日銀当座預金という日銀の負債が残るではないか…」と。

アホか。

そもそも、おカネ(貨幣)そのものが「負債」であるという基本中の基本を理解されているのでしょうか。

日銀は、デフレ経済という異常事態を払拭するために市場国債を購入することで日銀当座預金(405兆円)というおカネ(貨幣)を発行してきたに過ぎません。

因みに、405兆円の日銀当座預金は日銀の負債ですが、それでも日本銀行のバランスシートをみると28兆円の資産超過です。

現在、異例なことではありますが、日銀は日銀当座預金の一部に金利(補完当座預金制度利息)を付けています。

その利払いが日銀の純資産を食いつぶして「やがて債務超過になるぅ〜」と騒ぎ立てていたお○○さんな参議院議員がおられましたが、日銀が債務超過になる前に自分が落選して消えてしまいました。

たしかに日銀は毎年、約1,800億円の金利を払っていますが、1,800億円が28兆円の純資産を食いつぶすのにいったい何年かかると思っているのか。

ざっと計算すると、156年後です。

156年後、もしも本当に債務超過になってしまったのなら、そのときは親会社である日本政府が資本注入すればいいだけの話です、

また、民間銀行の貸出は「万年筆マネー」であって、集めた預金を貸出原資にしているわけではありません。

そこで、無秩序に銀行貸出が拡大しないよう、日銀は民間銀行に対して一定額以上の日銀当座預金の保有を義務付けているわけです。

ところが、緊縮財政を金科玉条のものとする財務省を中心とする日本政府が新たな国債を発行しないものだから、これ以上、日銀は日銀当座預金を発行することができません。

より問題なのは、日銀がこれまで発行してきた405兆円という日銀当座預金が使われていないことです。

これが使われないとインフレ率は上がらず、デフレを脱却することはできません。

405兆円を借りて使うことのできる経済主体は唯一つ、むろん「政府」です。

懸念されるのは「財政破綻」なんかではありません。

問題は「財政破綻という幻想」に怯え、政府が借金しておカネを使ってくれないことです。