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議会報告 02 政治・経済

MMTを曲解して財政支出の拡大を否定する人たち2019/08/29    

アフリカのジンバブエで悪性インフレが再発しています。

同国の中央銀行によれば、6月のインフレ率は前年比で176%に上昇しました。

一層の混乱を回避するためにジンバブエ政府は既にインフレ率の公表を停止していおりますが、米国ジョンズ・ホプキンス大学のスティーブ・ハンケ教授が推計した8月中旬のインフレ率は559%(前年比)だったらしい。

ジンバブエの公務員らは「給料を米ドルでよこせ」と政府に詰め寄っているといいます。

1年間で13,000%以上のインフレ率の上昇を一般的に「ハイパーインフレ」と呼びますので、現代階ではまだ「ハイパーインフレ」ではありません。

さて、なぜこのような悪性インフレが発生するのかといえば、答えは簡単です。

ジンバブエ国内のモノやサービスをつくる力、即ち供給能力が乏しく、国民が求めるモノやサービスが常に不足している状態、即ち需要過多にあるからです。

しかも半端ない需要過多。

供給 < 需要

このような状況下(供給<需要)で政府が歳出を拡大(通貨を発行)すれば、当然のことながら通貨価値は暴落します。

よって、ジンバブエ政府がまずやらかなければならないのは、供給能力の構築及び生産性の向上です。

要するに、できうるかぎり「供給 ≒ 需要」(受給均衡)の状態にもっていくこと。

供給能力の構築及び生産性を向上させるための具体策は、むろん「投資」です。

公共投資、設備投資、技術開発投資、人材投資の4つの投資。

とはいえ、国民経済では「投資」そのものが「需要」の一部となるため、その規模の兼ね合いを計らなければなりません。

一気に「投資」を拡大してしまうと余計にインフレ圧力がかかりますので…

さて、今朝のテレビ東京『モーサテ』が、このジンバブエのインフレ問題を取り上げていました。

解説したのは、東短リサーチの加藤出なる御仁ですが、私には解説を聞く前から概ねの察しがついていました。

ジンバブエ → 通貨発効 → インフレ → 通貨の信任が崩壊 → だからMMT(現代貨幣理論)は危ない!

私の予感どおり、加藤氏は「ジンバブエは財政赤字を通貨発効で埋めたからインフレとなり、通貨の信任を失った」と決めつけ、あたかも「通貨発効」自体に問題があったかのような言い回しに徹します。

前述のとおり、問題の本質は「供給能力の欠如」です。

供給能力が充分であれば、必ずしも通貨発効はインフレ率上昇に直結しません。

その証拠に日本をみよ。

下の2つのグラフのとおり、2013年以降、350兆円以上もの通貨を発行してきたにもかかわらず、信じがたいことにインフレ率はゼロ%だぞ。

加藤氏のようなクズ解説しかできない者には、このことを説明することができない。

また氏は「日本もこの先、企業がデジタル革命に乗り遅れ日本が供給能力を失えば、ジンバブエの二の舞になる。だから財政赤字を通貨発行で埋めるMMTには注意が必要だ」と締めくくりました。

案の定です。

「日本企業のデジタル革命への乗り遅れ = 日本国の供給能力の喪失」のくだりはあまりにも強引な理論展開だと思いますが、少なくともこの男、供給能力が悪性インフレの主因であることを半ば認めていますね。

最も許せないのは「財政赤字を通貨発行で埋めるMMT」のくだりです。

皆様、騙されないようにしてくださいませ…

MMT(現代貨幣理論)は、通貨発行で「財政赤字を埋める」ことを目的にした理論ではありません。

通貨発行(財政コントロール)によって需給バランスの調整が可能であることを証明した理論です。

MMTは「通貨を発行し財政赤字を埋めろ」などとは一言も言っていません。

「大事なのは需給のバランスであって財政収支のバランスではない」と言っています。

そして「インフレ率が許すかぎり、通貨発行(財政支出)に上限はない」と言っています。

ご承知のとおり我が国は、ジンバブエとは異なり「供給 > 需要」というデフレ状態が続いています。

即ち供給過多(需要不足)です。

せっかく日銀が通貨を発行しているのに、政府が緊縮財政によっておカネを使わない(財政支出を拡大しない)がために「需要」を拡大できないでいます。

だからこそ今、財政支出(財政赤字)を拡大(需要を創出)することで「マイルドなインフレ状態にもっていけ!」とMMTは言っているわけです。

自国通貨建てで資金調達できる国においては、国内のモノやサービスをつくる力、即ち供給能力が向上していくかぎり財政赤字など問題にならないのです。

むしろ問題は、この供給過多(デフレ)状態を放置していることで、年々、国内の供給能力が毀損していることです。

供給能力の毀損こそ、まさに発展途上国化(通貨発行に極度な制限がある国)を意味します。

MMTを曲解することで財政支出の拡大を否定し、日本のデフレ化を長期化させ我が国を発展途上国化するのは止めてほしい。

「MMTは通貨発行で財政赤字を埋める理論」なるウソ情報を撒き散らしす今朝の加藤氏の解説は、その片棒を担ぐものです。