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議会報告 02 政治・経済

制空戦闘能力、質量ともに向上する中国にどう対峙するか2019/07/28    

中国は先日(7月24日)、習近平氏が国家主席となって3回目となる「国防白書」を発表しました。

白書では、トランプ米政権が軍拡路線を採っており「世界の戦略的な安定を損ねている」と批判しつつ、軍トップである習近平主席の指導のもとで「戦争ができ、戦争に勝てる軍隊」を作ることを強調し、米国の覇権に挑戦する旗幟を鮮明にしました。

習近平主席の言う「戦争ができ、戦争に勝てる軍隊」を作るために、まず最も重要になるのがエアーパワー(空軍)でしょう。

軍事的および外交的な常識から考えて、最初から相互に核ミサイルを打ち合うような戦争は想定し難い。

各国は外交力の背景として、常に通常兵器での戦争を想定し、自国に対する驚異の優先順位をつけ、そのうえで戦略をたて防衛力を整備しています。

空軍は、戦時、とりわけ開戦初期に最も重要な役割りを果たします。

通常兵器での戦争において、その優位性を決定するものは「制空権」だからです。

制空権を確保し、戦地上空の管制を牛耳ることができれば、航空支援が容易になって地上戦での優位性をも確保できるわけです。

だからこそ、各国空軍は制空権確保のために最先端の技術を投入し空軍力の強化に鎬を削っています。

ご承知のとおり我が国は、この20年間、国を衰退させるデフレ経済を放置し、○○の一つ覚えのようにPB黒字化路線(緊縮財政)に突き進み、かつ防衛費は成長しないGDPのわずか0.9%枠を維持してきました。

一方、そんな日本を尻目に、GDPを成長させたきた中国は軍の近代化を進め、今や我が国の航空自衛隊のエアーパワーを圧倒しつつあります。

制空権確保のための戦闘機のことを「制空戦闘機」といいます。

制空戦闘機は、空対空の戦闘に特化し、敵の主力戦闘機を無力化することを想定して作られており、機動力、攻撃力、秘匿性に優れた戦闘機といっていい。

最も優れた世界最強の制空戦闘機を保有しているのは、むろん米国です。

その戦闘機とは、F22(ラプター)です。

F22が登場するまで、世界最強の戦闘機は同じく米国のF15(イーグル)でした。

因みに、F15は様々な戦争や紛争に投入され、幾度となくドックファイトをしていますが、実戦において負け知らずで、今に至ってもなお1機も撃墜されたことがありません。

その最強の戦闘機の更に上をいくのが、F22です。

F22の最大の特徴は、①ステルス性能と、②超音速巡航性能です。

この二つの特徴を活かし、F22は「First look and shoot , kill」(敵にみつかる前に敵をみつけ、攻撃し、破壊する)ことを目標に開発されました。

F22開発の際、複数のF15と少数のF22で模擬戦闘を試験した結果、F22が圧倒的に勝利したらしい。

このF22が米国に存在するかぎり、米国の領土領海において制空権を確保できる国など地球上に存在しません。

F22は現在、米国だけが配備していて、同盟国である英国にすら輸出しておらず、日本もこれを輸入しようとしましたが失敗しています。

しかしながら、F22はあまりにもハイスペックで、1機を製造するのに日本円にして150億円程度を要します。

日本と同様に、自国通貨(ドル)建てで通貨を発行できる米国政府にデフォルトリスクなど存在しないのに、なぜか米国でも金属主義という誤った貨幣論が罷り通っていて、緊縮財政思想から防衛予算に自らの制約を設け、F22よりも少しスペックを落とし開発されたのがF35(ライトニング)です。

むろん、スペックを落としたとはいえ、F35でも十分に強力な制空戦闘能力を有しています。

米軍は高性能戦闘機としてのF22と、中性能戦闘機としてのF35とを組み合わせ、「Hi&Loミックス戦略」を採用し運用しています。

米国は空軍だけで、F22を180機、F35を100機、F15を250機、F16を1000機も保有していますが、このF16を順次F35に切り替えています。

今後、米国空軍だけで、700機以上ものF35を調達するとしています。

むろん、米国は空軍以外にも、海軍と海兵隊も制空戦闘機を保有しています。

海軍は現在のF/A18戦闘機860機を順次F35に切り替え、海兵隊にもF/A18と垂直離発着機ハリアーが配備されていますが、これらも順次切り替え、海兵隊だけでも合計420機のF35を調達するとしています。

最終的に米国は軍全体で、F22→180機、F35→2000機以上体制で制空戦闘機を実戦配備する予定です。

さて、次は中国です。

中国(人民解放軍)の主力戦闘機は、Su-27(ロシア制)とJ11です。

Su-27は、ロシアが米国のF15戦闘機に対抗するために開発製造したもので、J11は中国がロシアからSu-27のライセンスを購入して独自開発したものです。

いずれにしても、Su-27にしてもJ11にしても、ともにF15やF16と同じ世代の分類で、いわゆる第四世代戦闘機と呼ばれるもなので、とてもとてもF35には太刀打ちできません。

よって今は未だ、米軍の制空戦闘能力の足元にも及びません。

とはいえ、米軍には追いつかなくとも、やがては日本には追いつきます。

中国は、この第四世代戦闘機を180機ぐらい保有しているらしいのですが、Su-27を更に進化させステルス性能を加えたJ20、あるいはF35に対抗できる制空戦闘機としてのJ31など、いわゆる第五世代戦闘機の開発を急いでいます。

むろん、日本の防衛費など比較にならないくらいの資金をそれらの開発に向けています。

因みにJ31は、米国のF35と機の形状が実に酷似しており、サイバー攻撃か何かで米国から不当にデータを盗んで開発したという噂もあります。

もしかすると、そこにファーウェイ問題が絡んでいたのかもしれませんが、むろん憶測の域をでません。

次いで、日本の航空戦力ですが…

航空自衛隊の現在の主力戦闘機は、今はまだF15です。

その数は201機で、数の上ではまもなく中国と拮抗しそうです。

ほかにF2(F16をベースに日本が独自開発)とF4が現役で飛んでいますが、とくにF4は第三世代と呼ばれる古い機種で、「未だそんなものを使っているのか?」と他国から揶揄されている有様です。

さすがに来年度には退役するらしく、報道されておりますように、今後、それらがF35に替わる予定です。

防衛省は、とりあえず42機のF35を調達し、やがてF35を航空自衛隊の主力戦闘機とする予定です。

この先、中国がJ31の開発に成功すれば、目まぐるしい勢いで機数を増やしていくことでしょう。

それに対し我が国は、デフレにより成長しないGDP、その0.9%以下の防衛予算(開発費を含む)で、いかにして軍拡中国と対峙していくのでしょうか。

制空戦闘能力の相対的低下は、むろん防衛力の相対的低下を意味し、ひいては外交力の低下を意味します。

外交力の低下とは、即ち国際社会のなかで自国の主張が通らないどころか、常に他国(対立国)の主張を受け入れなければならないことを意味します。

いずれの国においても、防衛力(軍事力)は外交の背景として存在しています。

それが政治のリアリズムです。

まずは、経済的にも外交(軍事)的にも我が国が「危機」にあることを、多くの国民が共通認識として持つべき時代(とき)かと思います。