15〜64歳の人口を「生産年齢人口」と言います。
モノやサービスを生産する主な担い手となる世代なので、このように呼ばれます。
日本経済新聞あたりは、この生産年齢人口を「経済活動の主な担い手」と定義しますが、モノやサービスが生産されるだけでは経済活動にはなりません。
生産されたモノやサービスをおカネを出して購入(需要)してくれる存在が伴ってこその経済活動です。
さらに言えば、どんなに生産を担う人口が多くとも需要と資源がなければ経済は成立しないわけで、要するに必ずしも「供給=経済」ではないのでございます。
日本経済新聞が、いわゆる供給サイドエコノミーに毒されているのがよく解かります。
さて、世銀統計によりG7(先進7ヶ国)の生産年齢人口数を比較してみますと、日本のそれは米国に次いで第2位です。
ただ、全人口に占める生産年齢人口、則ち生産年齢人口比率で比較すると最下位になります。
ご承知のとおり、我が国は少子高齢化が進み、生産年齢人口比率が低下し続けています。
過日に総務省から2020年国勢調査の確定値が公表された生産年齢人口数みても、生産年齢人口は7508万7865人となり、5年前の前回調査から226万6232人減っています。
ピークだった1995年の8716万4721人に比べて13.9%少ない計算になります。
もはや生産年齢人口比率の低下に歯止めがかからない状況です。
すると、例によって日本経済新聞は「人口減時代の成長は一人ひとりの能力を高め、規制緩和にも取り組んで生産性をどう押し上げるかにかかる」と言う。
あのですね、人口が増えようが増えまえが、経済成長とは一人あたりの生産性向上で決まるものなんですよ。
それに、お約束のように生産性向上の手段を「規制緩和」に求めているけれど、デフレを脱却しないままに規制を緩和したら余計にデフレ化しちゃうでしょ。
余計にデフレ化するということは、余計に国民を貧困化(実質賃金の低下)させるわけで、結果として余計に少子化を進めることになります。
日本が長きにわたってデフレ経済にあるなか、この新聞社から適切な処方箋が示されたことを私は知りません。
少なくともこの新聞社は、生産年齢人口比率の低下が実は経済成長のチャンスであることを知らない。
需要を担う総人口に対し、供給を担う生産年齢人口の比率が低下していくのですから、一人あたりの生産性を向上させるための「投資」を拡大していけば、自ずと日本経済は成長していきます。
むろん、民間部門の投資を促すのであれば、まずは政府がデフレ脱却のための諸政策を展開することです。
まずは何よりも、インフレ率が2〜3%に達するまで政府財政を拡大させることです。