新型コロナワクチンの3回目の接種について、案の定、迷走しています。
先日、当該ブログで指摘したように、接種業務の責任主体である地方自治体にとって、ワクチン担当省であれ、厚労省であれ、国から発せられるお達しは極めて重要かつ神経質にならざるを得ないものです。
実際、首長たちからの「国は接種を担う市町村のことを考えて対応してほしい」という切実なる声も多い。
とりわけ都道府県知事などは、それぞれの市町村と国の間に立って協議して方針を示さなければなりませんので情報が錯綜すると混乱を招きます。
そうしたなか、きのう堀内ワクチン担当相が3回目接種について会見に立ちましたが、その会見内容は私には全くもって理解し難いものでした。
接種の間隔について大臣は、原則「8ヶ月」で自治体が判断した場合に限り「6ヶ月」を例外的に認めるとしています。
要するに「自治体は8ヶ月間隔を前提に準備をしろ」と言い、また「クラスターが数多く発生した場合など、それぞれの自治体が実状を踏まえて6ヶ月後と判断することも認めてやる」と言っているわけです。
はて、そんなこと法律のどこに書いてあるのか!
我が国は本当に法治国家なのでしょうか?
去る11月15日(月)、厚労相の諮問機関である『予防接種ワクチン分科会』が開かれ、大臣からの諮問に応じて予防接種法施行規則が認められました。(施行規則は国会の議決を要しない)
当該施行規則は12月1日に施行されるわけですが、そこには明確に「6ヶ月以降」と記載されています。
つまり、追加接種の法的根拠はこれだけです。
にもかかわらず、どうしてワクチン担当大臣が勝手に「原則は8ヶ月で6ヶ月は例外的」などと決めることができるのでしょうか?
国務大臣が法律にないことを平然と言ってのけてしまう。
その遵法精神の欠如にはただただ恐ろしさを感じざるを得ません。
まるで川崎市の人事委員会と同じです。
法律に無いことを、あたかも法律であるかのように平然と嘘をつく。
この国の政府は、やばくないですか!
もともと、医療従事者や高齢者など既に2回目接種から6ヶ月以上を過ぎている人たちが大勢いるのに、予防接種法上の間隔を「6ヶ月」としたこと自体が実に不可解なことでした。
なかには既に8ヶ月以上が過ぎてしまっている人もいるわけですから。
それを法律で6ヶ月としておいて、今度は大臣が勝手に法律を無視して「6ヶ月は例外だ」と言う。
ここからは私の推測ですが、おそらくは当初の案では「8ヶ月」になっていたに違いない。
ところが海外では基本的に6ヶ月で接種が行われていることから、日本だけが8ヶ月だとまた「政府の対応が遅い!」という批判を受ける恐れがあった。
だから強引に「6ヶ月」にしたのだが、今度は地方自治体から批判の声が上がったがためにワクチン担当大臣が法律を捻じ曲げて「自治体の皆さん、やっぱり8ヶ月でいいですよ」となったのだと思われます。
何度でも言いますが、国務大臣とはいえ、法律に書いてあることを無視して自らの勝手な解釈で事業を遂行することなど絶対にあってはならないことです。
このことに対して、もしも野党がまったく反応しなかったとしたら、この国の民主主義は死んでいます。