このままCO2(二酸化炭素)の排出量が増え続けた場合、世界の気温は今後1世紀で最低でも4℃上昇する可能性がある、という予測があります。
科学的根拠があっての予測なのかどうかは私にはわかりませんが、それが事実だとすれば30年後には多くの人々(世界人口の約半分)が経験したことのない暑い夏に苦しめられるようになります。
やがては地球の陸地の44%が乾燥しはじめるのだとか。
そのうえ、もしも熱波や干ばつが世界の穀倉地帯に襲いかかることにもなれば、例えば食料市場の価格変動性も高まりますので人々は食料不安に怯えなければならない。
こうした最悪の事態を打開するには、排出量を減らすのみならず、既に大気中にある約1兆トンのCO2を取り除かなければならないわけですから、「脱炭素化」が国際政治の大きなテーマとなっているのも当然のことでしょう。
そこで、脱炭素化の切り札として太陽光、風力、地熱、バイオマスなど、いわゆる再生可能エネルギーが登場するわけです。
因みに、どうして「再生可能」というネイミングなのかが未だよくわかりません。
いかなるエネルギー源であれ最も重要なのは、我が国のエネルギー安全保障を確立することです。
それを無視して再エネに拘りすぎることの懸念を感じます。
例えば、再エネといえばおなじみの太陽光などは、自然災害の多い我が国の国土環境に適したエネルギー源とは思えせん。
にもかかわらず、国の内外で再エネへの期待が高まるばかりです。
今後も再エネが世界のエネルギーシステムでのプレゼンスを拡大していくことになるのでしょうが、いずれにしても強化しなければならないのがサイバー攻撃に対するセキュリティ能力です。
例えば、ランサムウェア。
ランサムウェアとは、パソコン、スマホ、タブレット等のコンピューターに感染することでロックをかけそのコンピューターを利用不能にし、その後、ロック解除を条件に金銭などの身代金を要求するウィルス犯罪のことです。
こうした得体の知れぬ勢力が仕掛ける複雑なデジタル攻撃が、私たちの生活に欠かせぬ重要な国内インフラをターゲットにすれば大いなる脅威です。
現に今年5月、米国最大のパイプラインの一つがランサムウェア攻撃で閉鎖に追い込まれました。
おそらく今後もこうした事例は増えていき、多くのインフラがサイバー攻撃の脅威にさらされることになるでしょう。
エネルギー効率がお世辞にも高いとはいえない再エネの場合、供給量が大きくなればなるほど保護を必要とするインフラが巨大になりますので、その分、ハッカーが侵入する機会も増えることになります。
ましてや、IT技術によって供給サイドと需要サイドの双方から電力量をコントロールできる送電網を必要とするスマートグリッドを推し進めるのであれば、その脅威はさらに高まります。