気候変動対策の国連会議である『COP26』では、CO2排出量の多い石炭火力発電の廃止が大きな焦点とされました。
主要経済国は「可能なかぎり2030年代に廃止する」という声明に40ヶ国あまりが賛同したのに続いて、きのう議長国イギリスは採択を目指す成果文書の議長案に「石炭火力の段階的廃止」を求める内容を盛り込みました。
今後も石炭を使い続ける方針の日本への圧力が強まっています。
先週行われたCOP26(石炭火力の会議)の声明文をみますと、主要経済国は可能なかぎり2030年代に、世界全体では可能なかぎり2040年代に排出削減対策がとられていない石炭火力から移行する取り組みをすすめ、新規建設は中止するとしています。
ご承知のとおり、石炭火力は電源のなかでも最も多くのCO2を排出することから温暖化の要因とされ、脱炭素化を求める声が世界的に高まっています。
因みに、日本が石炭火力で支援をしてきたベトナムまでもが「可能なかぎり2030年代に廃止する」ことに賛同する国々に入っています。
COP26のシャルマン議長は「この会議は石炭を過去の遺物とするもので、終わりは目前に迫っている」とコメントしています。
しかし日本政府は「資源が乏しい日本は多様なエネルギーをバランスよく活用する必要がある」として、米中ともに賛同していません。
当初イギリスは先進国に対しては2030年までに、途上国に対しては2040年までの廃止を強行に迫っていましたが、それではなかなか合意が得られないとみたイギリスは「可能なかぎり…」とか、期日を「2030年代に…」とか妥協してハードルを引き下げるに至ったわけです。
もしもイギリスがハードルを引き下げなければ、40ヶ国あまりもの賛同は得られなかったと推察します。
現在、日本が石炭火力に依存しているのは、福島原発事故以来、原発を止めているからです。
なお、石炭は最近こそ価格が上昇していますが長期的には天然ガスや石油に比べて安く、世界各地から輸入できるローコストなエネルギーとされていることも石炭火力への依存度を高めている要因かもしれません。
現在では我が国の電源の32%を石炭火力が賄っており、新規の建設も進めれれています。
一方、パリ協定以降の脱炭素化の流れの中、石炭火力はヨーロッパを中心に廃止の動きが加速しています。
G7ではフランスが2022年、イギリスが2024年、イタリアが2025年、カナダが2030年、ドイツが2038年までの廃止を決めています。
アメリカは2035年までに発電部門を脱炭素化するとしています。
これに対し日本は、2030年までに非効率石炭火力発電所を廃止する方針を決めてはいます。
しかし先月に改定したエネルギー基本計画では、2030年に全電源の19%まで下げる目標を示したものの、将来も使い続ける方針を示したがためにそのことが批判されています。
ここでインチキ臭く浮上してくるのが「日本が石炭火力を捨てられないのは再生エネルギーの普及が遅れているからだ」という主張です。
バカも休み休み言うべきで、例えばドイツが脱原発で再エネにシフトできるのは、フランスの原発で作られた電気を買えるからであり、陸続きのヨーロッパの利点を活かして送電網を張り巡らせているからです。
日本の場合、例えば太陽光パネルを敷くだけの大規模な土地を確保することが困難な国土的な制約があり、あるいは台風や梅雨や豪雪が多いという気象的な制約だってあります。
しかも原発が動かせない今、再エネのような不安定な出力を火力で調整しなければならないのは必然のことです。
さて、こうした気候変動への対処問題がでてくると必ず「再エネ普及論」が浮上しますが、2020年に河野太郎氏が規制改革相に就任したとき、内閣府に「再生可能エネルギータスクフォース」が設置されたのをご存知でしょうか。
河野太郎氏は、日本の全世帯に太陽光パネル設置を義務化しようとしたらしい。
因みに、先の自民党総裁選の際に河野太郎氏を応援した小泉進次郎氏も「2030年までの間にいかに太陽光を入れるかが最重要であり、住宅への太陽光パネル設置義務化を視野に入れて考えるべきだ」と主張しています。
さらには、あの竹中平蔵氏もここにきて「脱原発」に転じており、河野太郎氏の脱原発論を支持しています。
この3人が揃うと嫌な予感しかしないのは私だけでしょうか?
なお、太陽光パネルのソーラーシステムの接続端子を製造している会社(日本端子株式会社)の大株主は河野太郎さんのお父上、代表取締役は河野太郎さんの弟君でした。
ご自身は元常務だったとか。
それにこの会社、中国に3つの子会社をもっているらしい。
そういえば、総裁選の際に河野太郎氏は「中国とギクシャクすると日本の企業が打撃を受ける」と言っていました。
なるほど、物事には何かしらの背景があるものです。