マスコミによると、今回の総選挙では社会保障費の在り方が争点の一つになっているらしい。
いつも思うのですが、選挙の「争点」っていつ誰がどのような理由で決めているのでしょうか。
そもそも有権者の一人ひとりが個々に決めるべき問題だと思うのですが…
メディアが一方的に「今回の選挙の争点はこれです!」と報道することには違和感を覚えます。
とはいえ、確かに「社会保障が争点だ」と思っている有権者も大勢おられることでしょう。
社会保障(年金、医療、介護、子育て、生活保護、雇用、労災等)といえば、とにもかくにも財源問題が喧しい。
因みに、国の一般会計歳出の約1/3は社会保障費が占めています。
財務省によると、社会保障費の財源は、①税金、②借金、③保険料、④資産収入の四つだという。
さて、ここでいう税金とは、マクロ経済上、何を意味しているのでしょうか。
国民経済の基本であるGDP(国内総生産)は、付加価値の合計(生産面GDP)や需要(支出面GDP)であると同時に、国民(政府を含む)の所得の合計(分配面GDP)という意味合いをもっています。
因みに、冒頭のグラフのとおりGDPを分配面からみますと、国内総生産には「生産・輸入品に課せられる税」が含まれていますが、これは簡単に言うと「政府の所得」のことです。
なお、雇用者報酬(例えばサラリーマンの所得)の一部は、所得税や社会保険料として国に支払われています。
また営業余剰(企業の税引前利益)の一部は法人税として、やはり国に支払われています。
つまりは、所得の再配分が行われた結果、政府の所得は「生産・輸入品に課せられる税 ー 補助金」よりも大きくなっていることが解かります。
政府は徴税というかたちで国民に所得の一部を供出させますが、ポイントは「政府税収の源泉は、すべてGDPである」という点です。
税率が同じであると仮定すれば、政府の税収の基礎となる所得を拡大するにはGDPを成長させるしかないわけです。
税収の基礎がGDPであるのに対し、国債発行の場合はどうか。
いつも言うように、国債発行とは政府による通貨の発行にすぎず、ゆえにインフレ率という制約さえクリアできれば、政府の通貨発行(国債発行)に上限はございません。
では、どうすればインフレ率という制約を最小限にすることができるでしょうか。
何より、安定した内需の成長です。
内需が安定的に成長するということは、国内供給能力が安定して拡大しているということを意味しますので、インフレ率のマイルド(2〜5%)な上昇が可能です。
この範囲を超えないかぎり、政府はインフレ率の制約を受けずに国債を発行し続けることが可能となります。
要するに、社会保障費を充実させたければ、GDPを安定期に成長させることです。
そのためにはまず、現在のデフレ経済を払拭することが先決です。
どうやって?
むろん、国債を増発して政府支出(消費と投資)を拡大することです。
まちがっても「緊縮財政により社会保障費を捻出しよう」などという発想だけは持たないでほしい。
そんなことをしたらドツボに嵌ります。