きのう衆議院が解散されました。
一応は政権選択の選挙となります。
どこまで真に理解されているのか推測しかねますが、とりあえず岸田総理は「新自由主義からの脱却」を政策の柱に掲げています。
それを大阪維新の会の吉村府知事が批判しているらしい。
「岸田内閣の経済政策では成長を期待することはできない…」と。
大阪維新の会が「新自由主義」を進めたい勢力だということがよくわかります。
一方、保守系と言われるジャーナリストや評論家の多くが「岸田内閣の経済政策は大きな政府で社会主義的だ」と批判しています。
この種の人たちは「小さな政府は資本主義で、大きな政府は社会主義だ」と誤解されているようです。
断っておきますが、政府の大きさ小ささに資本主義も社会主義も何ら関係ありません。
そもそも「資本主義」と「社会主義」は対立する概念ですらない。
資本を投じることで経済を成長させるシステムのことを資本主義と言います。
ここでいう「資本」とはおカネのことではなく、機械や工場などの生産資産のことです。
生産資産を充実させ一人あたりのGDPを増やしていくこと、それが生産性の向上です。
経済成長の源泉は、この「生産性の向上」以外にありません。
因みに、新自由主義的政策によってデフレ化した現在の日本は長期的に経済が成長しておらず資本主義の定義を充たしていない。
社会主義というのは生産資産をすべて国家が管理する体制のことを言いますので、実は社会主義も資本主義の一形式なのです。
要するに、全ての生産資産を国家が管理しても上手くいかないし、だからといって全ての生産資産を民間が管理しても上手くいかないという話です。
だからこそ、ナショナルな資本主義が必要なのです。
新自由主義は、この「ナショナルな資本主義」を破壊します。
なぜなら新自由主義とは、国家や行政が関与しない自由な競争市場(Free Market)こそが、資源配分を効率化させ経済構成を最大化させるという思想であり教義(ドグマ)だからです。
彼らに言わせると「政府の財政支出は市場を歪めるものである」となります。
だから新自由主義は、常に収支均衡(PB黒字化)を求めるわけです。
むろん新自由主義の言う「自由な競争市場」は、自然災害、戦争、疫病パンデミック、経済ショックなどの危機を想定していません。
例えば我が国は、これまで新自由主義的な考え方で保健所を減らし、あるいは新自由主義的な考え方で病床を減らしまくってきたお陰でコロナ・パンデミックに対応できなかったことはご承知のとおりです。
ゆえに、岸田総理に求めるのは新しい資本主義ではなく「ナショナルな資本主義」です。