いよいよ10月14日(木)に衆議院が解散されます。
翌週19日(火)には総選挙が公示されるためか、某政党の宣伝チラシが慌てるようにしてポストに投げ込まれていました。
どこの政党のチラシかと思ったら、ネオリベ(新自由主義)政党である『日本維新の会』のものでした。
ご承知のとおり、新自由主義は新古典派経済学を教義にしています。
例えば、日本維新の会の社会保障政策には「ベーシックインカム」が掲げられていますが、ベーシックインカムこそ新古典派経済学の祖であるミルトン・フリードマンが提唱した政策です。
ミルトン・フリードマンは、社会保障全廃と最低賃金制度廃止とをセットにした政策としてベーシック・インカム(負の所得税)を提唱しました。
なぜ「負の所得税」と言うのかというと、高所得者層から徴収した所得(税金)を最低限の所得保障として機械的に低所得者層に移転するからです。
即ち、低所得者層は税金を支払うのではなく受け取るから「負の所得税」です。
ただ、ベーシックインカムは「最低生活保障」などと言われていますが、生活保護とは少し異なります。
生活保護の場合は「自治体」という地方政府が関与するわけですが、新自由主義者に言わせると「政府機関が関与すると不正受給などの問題が発生するし効率も悪い」となります。
年金や生活保護に限らず、政府の社会保障支出は必ず既得権益と無駄な行政コストを発生させるのだとミルトン・フリードマンは説いていました。
おそらく日本維新の会の候補者たちの多くがミルトン・フリードマンなんて知らないでしょうけど…
さすがに日本維新の会はミルトン・フリードマンが提唱していた「社会保障全廃・最低賃金制度廃止」までは踏み込めないようで、チラシを読むとベーシックインカムをつまみ食いしたような実に中途半端な政策になっています。
因みにチラシをよく読むと、彼らがあれほど声高に主張してきた「道州制」が消えています。
世間的に旗色が悪くなると、なんの説明もなく何事もなかったかのようにしれっと政策を引っ込めてしまうあたりが実に邪知深い。
新自由主義に基づく政策こそが、日本をデフレのどん底に突き落とし、安定した社会秩序に必要な「中間所得層」を破壊し格差を拡大させ、国内の供給能力を毀損し我が国を発展途上国化させてきたことは紛れもない事実です。
それでもまだ新自由主義を捨てようとしない。
それでいてときおり保守政党づらもする。
まこと狡猾な政党です。
オーストラリアの経済学者であるジョン・クイギンは、欠陥だらけにもかかわらずなかなか死なない新自由主義(新古典派経済学)をゾンビになぞらえました。
ゆえに某政党も今回の総選挙においてもまたゾンビのように生き残るのでしょう。