新型コロナウイルス感染の後遺症

新型コロナウイルス感染の後遺症

新型コロナの第5波では、10代から30代という若い世代での感染者が増え、40〜50代の働き盛りの世代でも重症化しました。

ワクチンによる集団免疫効果もあってなのか、ここのところ新規感染者が減少しつつありますが、その一方で新型コロナウイルスの後遺症に悩んでいる人たちが後遺症外来を訪れ、医療機関によっては患者数が増えているという。

この第5波では多くの新規感染者がでて重症者も増えたため、今後、後遺症患者が増えることが予測されます。

一般的には、新型コロナに感染して病気が進行すると肺がダメージを受け酷い酸素不足に陥るとされています。

しかし肺以外にも、心臓、脳、肝臓、血管、消化管、腎臓、膵臓など、体のあらゆる部分で症状があらわれるというから恐ろしい。

これらの全身での症状が感染診断してから一ヶ月以上が経ち、ウイルスが検出されない時期になった後もなお一部の人では長引くことがわかっており、それを後遺症と呼んでいます。

具体的に後遺症にはどのような症状があるのかと思い調べてみますと、東京都の世田谷区が後遺症に関するアンケート調査を実施しており興味深いデータを紹介してくれています。

その一部をグラフ化したものが冒頭のグラフです。

感染が確認されてから3〜4ヶ月を経た人を対象にアンケートしたところ、回答のあった3,710人中、後遺症があると答えたのは48.1%で約二人にひとりです。

ご覧のとおり症状としては、複数回答で多い順に「嗅覚障害」「全身倦怠感」「味覚障害」「せき」「息苦しさ」「頭痛」とづづき、なかには「脱毛」や「記憶障害」を訴えている人もおられました。

この調査では年代によって後遺症の多い症状にちがいがありました。

例えば10〜30代で最も多いのが嗅覚障害、40〜50代で多いのが全身倦怠感でした。

注目したいのは、40〜50代で多かった全身倦怠感です。

全身に酷い倦怠感がある場合、一部の人は筋痛性脳脊髄炎、慢性疲労症候群につがながる可能性があるので注意が必要だ、と専門家が警鐘を鳴らしています。

これらの病気は新型コロナが流行する以前からありました。

国立精神・神経医療研究センターで特任研究部長をされている山村隆氏によれば、実は海外ではSARSの流行後、ウイルス感染を引き金に自分の免疫が異常になってこの病気が流行したことが知られているという。

日常生活に支障をきたすほどの倦怠感などが6ヶ月以上もつづき、ときにはブレイン・フォグと呼ばれる、脳に霧がかかったように思考力低下や記憶障害を引き起こす場合もあるとのことです。

山村氏は、もしかすると一部の人は今回の新型コロナウイルスの感染をきっかけにこれらの病気が発症する可能性もあるとして注意を促しています。

この新型コロナウイルス問題がもちあがった当初、「例え新型コロナに感染しても、所詮は風邪と同じレベルの症状なのだから心配はいらない」「政府の対応は大げさ過ぎる」「緊急事態宣言なんて要らない」と豪語していた学者(専門外の学者)らもいました。

なかには「ここに新型コロナウイルスの入った水があったなら、ぜんぶ飲み干してもいい」とまで言い放った人もおられました。

素人目にみてもウイルスは変異していくわけですから、例え当初は軽い症状であったとしても時が経てば後遺症が残るほどに重症化してしまうことを想定しておかねばならなかったのでしょう。

これらは、限られた情報で、あるいは不確かな情報で勝手読みしてしまうことの危険性を痛感させる一例です。

ワクチンデマの問題もしかりです。

我が国でのワクチン接種の開始が他の先進諸国より4〜5ヶ月も遅れてしまったのもまた、国会議員たちがデマに振り回された「反ワクチン世論」の圧力に対して腰が引けてしまったためです。

当たり前ですが、国会議員には有権者以上の情報リテラシーが求められます。