自民党は新自由主義と決別できるのか!?

自民党は新自由主義と決別できるのか!?

自民党総裁選挙が終わり、岸田新総裁が誕生しました。

今後、与党が多数をもつ国会で首班指名されたのち、陛下より任命を授与して正式に内閣総理大臣に就任することになります。

岸田さんは今回の総裁選挙に臨むにあたって「新自由主義的な政策を転換する…」と発言されていました。

その言葉を、私は国民の一人として強く信じたい。

ただ、岸田さんが「新自由主義」をどのように定義されているのかはわかりません。

ひょっとすると誰かに多少の知恵をつけられ発言されたレベルなのかもしれませんが、少なくとも1990年代から続いてきた自由化、民営化、規制緩和、財政収支の縮小均衡といった「構造改革路線」を見直してもらわなければ嘘つきです。

岸田さんが総裁選に勝利されたきのう、奇しくも「政府が日本郵政株を3次売却する」というニュースがありました。

政府は日本郵政に対して政府保有が義務付けられている3分の1を除く全株を処分する方針です。

郵政を民営化したのは小泉内閣ですが、その小泉内閣が行った新自由主義的な政策(構造改革)は未だ着々と進んでいます。

因みに、小泉進次郎議員が今回の自民党総裁選で岸田さんを支持しなかった理由の一つは父が行った、あるいは自分が行おうとしている「新自由主義路線」を否定されたからだと思います。

さて、郵政3事業とは…
①郵便事業
②郵貯事業(銀行業務)
③簡保事業(生保業務)
…の3つです。

郵政3事業が民営化される以前から、①の郵便事業は赤字でした。

あたりまえの話ですが、はがき一枚をたったの50円(当時)で日本全国ユニーバーサルに届けてくれる会社などありません。

はがきは一例に過ぎませんが、多くの国民は国営で運営される郵便サービスの恩恵を享受していたわけです。

加えて郵政3事業を国営で行ってきた利点はさらに大きかった。

②の郵貯事業や③の簡保事業の黒字によって、郵便事業の赤字を補うことができたからです。

郵政3事業が国営で行われていたことは、ある種の安全保障でもあったわけです。

それを新自由主義は、「非効率」の一言で民営化しました。

当時の小泉総理は「郵政が多くの公務員を抱えているのは無駄だ」と言っていましたが、日本は当時からすでにOECD加盟国なかで公務員数が下から2〜3番目に少ない国でしたし、しかも郵便事業を公務員が行っているのは日本だけではありませんでした。

そもそもからして「民営化して市場に委ねさえすれば必ず効率化する」という発想こそが「新自由主義」の教義(ドグマ)そのものです。

例えば医療行政には様々な規制がありますが、これらすべての規制を緩和し公的部門の関与を無くして市場に委ねたら国民医療は効率化するのでしょうか?

するわけがない!

一方、小泉進次郎氏は協同組合である『農協』を解体して株式会社化したいらしい。

しかしながら、農協もまた郵政と同様に「全農」の赤字を銀行業務と生保業務の黒字で賄っています。

その全農が我が国の食料安全保障を担っている事実を彼は知らない。

あるいは、それを知った上で『農協』を解体しようとしているか。

岸田新総裁の言う「自民党を変えること」ができるかどうかは、自民党が新自由主義から決別できるかどうかにかかっているのではないでしょうか。