由々しき事件が起きました。
大阪市此花区の私立認可保育園で、保育士が新型コロナウイルスに感染していたにも関わらず、保健所の調査に対して「出勤していたこと」を隠すよう園が保育士に指示していたとのことです。
結果、当該保育園では保健所による濃厚接触者の調査が行われず、その後複数の園児らの感染が確認されています。
ご承知のとおり保健所は、感染者が確認された場合には発症2日前以降の行動を基に濃厚接触者を調べることになっています。
ところが、当該保育園は保育士が土日で休みだった21日、22日を含めて「出勤していない」と保健所に虚偽の報告をしたことから調査の対象外となってしまったわけです。
保育園で感染者が出た場合、厚労省は濃厚接触者が特定されるまで臨時休園するよう求めています。
ゆえに当該保育園の園長はメディアの取材に「休園は保護者への影響が大きから、どうしても避けたかった」という趣旨の言い訳をしています。
それはおかしい。
たしかに保護者にしてみれば「休園」は困り事でしょうが、それよりも、コロナ感染している保育士が自分の子供と接触していることのほうが余程に困り事であるにちがいない。
園長の言う「保護者のため」は建前で、本音は「休園すると経営的に厳しいから…」ということではなかったか。
もしそうだったとすれば、それは保護者のためでも園児のためでもなく、たんに園長ご自身「自分のため」ということになります。
さて、園児に感染させた当該保育士さんはワクチンを接種していたのでしょうか?
接種者と未接種者では、感染させるリスクが異なります。
むろん、未接種者のそれは接種者に比べて高くなります。
本来、安全上の観点から、接種していない保育士に対しては例えば定期的に「陰性証明」を提出させるとか、園児と接触する機会を減らすとかなど、何らかのリスク回避措置がとられるべきです。
未接種者が感染させるリスクが接種者よりも高いのですから、子供を預かる施設としては当然の措置だと思います。
残念ながら川崎市の保育園でも、そうした措置はとられていません。
少なくとも、自分の子供を担当している保育士がワクチン未接種であることを懸念される保護者もおられましょう。
ゆえに保護者には「おたくのお子さんをみている保育士はワクチン未接種です」と報告することも必要ではないでしょうか。
保護者にはそのことを知る権利があると思います。
ご承知のとおり、予防接種法においてワクチン接種は「義務」でも「強制」でもありません。
しかしながら同法第8条には、各自治体にはワクチンの接種勧奨が課せられています。
要するに感染リスクを軽減させる観点からも、未接種の保育士や従事者に対し、接種による感染予防効果や安全性について説明するなど具体的な勧奨が行われてしかるべきなのですが、本市の保育行政を所管する川崎市こども未来局などは実質的に何もしていません。
法律で課せられた責務を果たさないのは、行政の怠慢です。
予防接種法(第8条)
市町村長又は都道府県知事は、第五条第一項の規定による予防接種であってA類疾病に係るもの又は第六条第一項若しくは第三項の規定による予防接種の対象者に対し、定期の予防接種であってA類疾病に係るもの又は臨時の予防接種を受けることを勧奨するものとする。